監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士
交通事故で軽いケガを負った場合でも、通院したのであれば、慰謝料を受け取ることが可能です。
ただし、相手方の保険会社が提示する慰謝料額は、必ずしも十分とは限りません。
相場を知らずに示談すると損をするおそれがあるため、適正な慰謝料額の目安を理解しておくことが大切です。
この記事では、軽症の場合の慰謝料相場をはじめ、十分な慰謝料を得るためのポイントや、弁護士への依頼を検討すべきケースなどについてわかりやすく解説します。
かすり傷だけじゃない!交通事故の慰謝料における軽症の定義とは
交通事故における「軽症」とは、一般的にレントゲンやMRIなどの画像検査で異常が確認できないケガのことです。
代表的なものとして、むちうちや捻挫、打撲、すり傷、かすり傷などがあげられます。
「軽症」と聞くと大したケガではないように思われますが、症状によっては治療が1ヶ月以上に及ぶこともあります。
例えば、むちうちは、首の痛みや頭痛、しびれなどが長く続くことがあり、日常生活や仕事に支障が生じるケースも少なくありません。
軽症だといくらもらえる?症状別の慰謝料相場
擦り傷・かすり傷の相場(通院1~2週間)
すり傷やかすり傷であれば、通院回数は1~3回程度、通院期間は1~2週間程度で治療を終えるケースが一般的です。この場合の入通院慰謝料の相場は、以下のとおりです。
| 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|
| 1万円~6万円程度 | 4万円~10万円程度 |
短期間の通院でも弁護士基準の慰謝料は自賠責基準を上回ることが多く、通院期間が長いほどその差は大きくなります。
打撲の相場(通院1ヶ月)
打撲は、骨折のような重傷ではありませんが、痛みや腫れが引かず、1ヶ月程度の通院が必要になるケースも少なくありません。
打撲で週2~3回、1ヶ月通院した場合の入通院慰謝料の相場は、以下のとおりです。
| 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|
| 3万円~13万円程度 | 19万円程度 |
適切な賠償を受けるためにも、痛みが続く場合は自己判断で通院をやめず、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
捻挫・むちうちの相場(通院3ヶ月~6ヶ月)
むちうちや捻挫は、一般的に3ヶ月程度の通院で症状が改善するケースが多いです。
ただし、痛みやしびれなどの症状が続く場合には、6ヶ月ほどの治療が必要になることもあります。
むちうちや捻挫で3ヶ月~6ヶ月通院した場合の入通院慰謝料の目安は、以下のとおりです。
| 通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 3ヶ月 | 25万8000円程度 | 53万円程度 |
| 4ヶ月 | 34万4000円程度 | 67万円程度 |
| 5ヶ月 | 43万円程度 | 79万円程度 |
| 6ヶ月 | 51万6000円程度 | 89万円程度 |
同じ通院期間であっても、実際の通院日数が極端に少ない場合は、慰謝料が減額される可能性があるため注意が必要です。適正な慰謝料を受け取るためには、医師の指示に従い、週2~3回を目安に、継続して通院することが大切です。
後遺障害が残った場合
最初は軽症と診断されても、痛みやしびれなどの症状が改善せず、後遺症として残ってしまうことがあります。
こうした後遺症が後遺障害等級として認定されると、後遺障害慰謝料を請求できるようになるため、慰謝料額が大きく増える可能性があります。
むちうちによる後遺症で、認定される可能性がある等級は、12級13号または14級9号です。
それぞれの後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。
| 等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 12級13号 | 94万円 | 290万円 |
| 14級9号 | 32万円 | 110万円 |
自賠責基準よりも弁護士基準の方が3倍以上高額となっていることがわかります。
後遺障害等級の認定要件
12級13号
12級13号は、「局部に頑固な神経症状を残す」ときに認定される後遺障害等級です。
神経症状とは、痛みやしびれ、めまい、倦怠感、吐き気などを指します。
認定を受けるには、MRIなどの画像検査や、神経学的検査などによって、症状の原因となる異常が確認できることが必要です。
14級9号
14級9号は、「局部に神経症状を残す」ときに認定される後遺障害等級です。
画像上では異常なしと判断されても、事故の状況や治療経過、症状の一貫性などから、後遺症の存在を医学的に説明できれば、認定されます。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
軽症でも十分な慰謝料額を得るためのポイント
早めに病院を受診する
症状が軽いと思っても、できるだけ早く病院を受診するようにしましょう。
入通院慰謝料は、実際に治療を受けたことを前提に支払われるため、病院に行かなければ請求できません。また、事故から初診までに日数が空くと、交通事故とけがとの因果関係が疑われ、治療費や慰謝料の支払いに影響するおそれがあります。
特にむちうちでは、後から症状が現れることも多いため、自覚症状がなくても、整形外科などで診察を受けておくことが大切です。
整骨院に通う場合は注意が必要
交通事故の治療で、整骨院だけに通うのはおすすめできません。
医師の許可なく整骨院に通うと、相手方の保険会社から「その施術は必要な治療ではない」と判断され、治療費や慰謝料を請求できない可能性があります。
また、後遺障害等級認定に必要となる後遺障害診断書は、医師しか作成できません。
そのため、医師の許可を得たうえで、整骨院を利用することが大切です。
整骨院に通い始めた後も、経過を確認してもらうために、月に1回以上は整形外科を受診するようにしましょう。
治療費打ち切りの打診を安易に受け入れない
ケガの治療中に、相手方の保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。
しかし、症状がまだ改善していないなら、安易に応じるべきではありません。
治療費打ち切りに合わせて治療もやめてしまうと、通院期間が短くなり、入通院慰謝料が低くなったり、後遺障害等級認定で不利になる可能性があります。
保険会社から打ち切りの連絡を受けたら、まずは主治医に相談しましょう。主治医がまだ治療が必要と判断しているのであれば、治療費支払いの延長交渉を行うことが必要です。
軽症の交通事故でも弁護士に依頼すべきケースとは?
弁護士費用特約が付いている
軽症であっても、自動車保険に弁護士費用特約が付いているなら、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士費用特約を利用すれば、一般的に300万円までの弁護士費用を保険会社が支払ってくれます。軽症であれば、特約によって弁護士費用をすべて保険会社に負担してもらえるケースが多いため、費用倒れを心配する必要はほぼありません。
弁護士費用特約は火災保険やクレジットカード、家族の保険などにも付帯されている場合があります。利用できる特約がないか、一度ご確認ください。
通院が長引いている
通院が長引いている場合は、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
通院期間が長くなるほど、自賠責基準と弁護士基準の慰謝料額の差は大きくなるのが一般的です。
そのため、弁護士が示談交渉を行うことで、慰謝料が増額される可能性が高まります。
さらに、通院が長期化している場合には、後遺障害等級の認定を受けられるケースもあります。「軽いけがだから大丈夫」と自己判断せず、認定の見込みや今後の対応について、早めに弁護士へ相談しておくことが大切です。
後遺症が残った
治療を続けても痛みやしびれなどの後遺症が残っている場合は、適正な賠償を受けるためにも、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
自賠責保険に申請し後遺障害等級として認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになり、賠償金が大きく増える可能性があります。
特にむちうちによる後遺症は、MRIなどで異常が見つからないことも多く、後遺障害等級認定を受けるには専門知識に基づいた対応が必要です。
症状が残っている場合は、早めに弁護士へご相談ください。
保険会社からの提示額に納得がいかない
相手方の保険会社から示談金の提示を受けても、「思ったより低い」と感じる方は少なくありません。その場合は、まず提示額が適正なのかを弁護士に確認してもらうのがおすすめです。
実際、保険会社の提示額は必ずしも十分とは限らず、弁護士が交渉することで賠償金が増額されるケースも多くあります。
示談成立後のやり直しは難しいため、納得できないままサインするのは避けるべきです。
弁護士に増額の見込みを確認し、費用倒れの可能性も踏まえたうえで依頼を検討するとよいでしょう。
軽症の交通事故慰謝料に関するよくある質問
通院1日だけでも慰謝料はもらえますか?
通院1日だけでも、慰謝料を受け取ることが可能です。
慰謝料の金額は算定基準によって異なります。
むちうちや打撲などの軽症で、1日通院した場合、自賠責基準で4300円、弁護士基準で約6333円の慰謝料が認められる可能性があります。
さらに、治療費や通院交通費などの請求も可能です。
「大したケガではないから」と病院へ行かないでいると、物損事故として扱われ、慰謝料を受け取れなくなるおそれがあります。
症状が軽くても、早めに病院を受診するようにしましょう。
怪我がないと思って物損事故で処理したのですが、後から痛みが出てきました。慰謝料はもらえませんか?
慰謝料を受け取れる可能性があります。
後から痛みが出てきたら、できるだけ早く病院を受診することが大切です。
診断書を取得したら、警察に連絡し、物損事故から人身事故に切り替えてもらいましょう。
人身事故として扱われると、治療費や慰謝料、休業損害などの請求が可能となります。さらに、警察による実況見分調書が作成されるため、過失割合で争いになった場合の証拠にもなります。
人身事故への切り替えは、2週間以上経過すると認められない可能性があるため、早めに申告しましょう。
交通事故慰謝料のお悩み・疑問は弁護士法人ALGにご相談ください
軽症であっても、被害者の受ける精神的苦痛は決して小さなものではありません。
しかし、「軽いけがだから慰謝料はあまりもらえないだろう」と考え、相手方の保険会社から提示された金額をそのまま受け入れてしまう方も少なくありません。
適正な慰謝料を受け取るためには、専門的な知識をもとに保険会社と交渉することが必要です。とはいえ、ご自身だけで対応するのは大きな負担となるでしょう。
弁護士法人ALGには、交通事故の解決実績が豊富な弁護士が多く在籍しています。
慰謝料の適正額の検討から、保険会社との交渉、後遺障害等級認定の申請まで、幅広くサポートすることが可能です。
「軽症だから仕方ない」とあきらめてしまう前に、まずはご相談ください。

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保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
