交通事故で通院日数が少ない場合の慰謝料への影響と適正額を受け取るための方法

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交通事故で通院日数が少ない場合の慰謝料への影響と適正額を受け取るための方法

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将

監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士

交通事故で負った怪我は、医師の指導・助言のもと適切な頻度で通院治療することが望ましいです。しかし、仕事や家事・子育てに追われ通院日数が少なくなってしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

交通事故で負った怪我の通院日数が少ないと、慰謝料が低額になったり、減額されることがあります。

その他にも、後遺障害等級が認定されなかったり、治療費の一括対応を打ち切られたりと大きなデメリットにつながる場合もあります。

この記事では、通院日数が少ない場合の影響について解説していきます。

通院日数が少ないと慰謝料にどのような影響が出るのか

通院日数が少ない場合、入通院慰謝料が少なくなるおそれがあります。ここでは、具体的にどの程度慰謝料が少なくなるのか見ていきましょう。

自賠責基準の場合

自賠責保険は、基本的な対人賠償を目的とした基準です。入通院慰謝料では1日4300円と定められており、通院日数が少ないとその分慰謝料も少なくなります。

自賠責基準の入通院慰謝料には、以下の式があり、どちらか少ない方が採用されます

【自賠責基準の入通院慰謝料計算式】

  • 4300円×全治療期間(初診から完治または症状固定まで)
  • 4300円×(実入通院日数×2)

弁護士基準の場合

弁護士基準とは、実際の訴訟や弁護士が参考にする基準で、慰謝料を算出する基準のなかで、最も慰謝料が高額となり、被害者が受け取るべき金額です

弁護士基準の入通院慰謝料は「入通院慰謝料算定表」(赤い本)を参考に、通常は通院期間をもとにして算定します。

しかし、通院期間に対し実際の通院日数が少ない場合は以下の日数を「みなし通院期間」として算定します。

  • 軽傷(他覚的所見のないむちうち、打撲など):実通院日数×3
  • 重傷(軽傷以外):実通院日数×3.5

どれくらいで通院日数が少ないと判断されるのか

初めてその怪我を負ったような場合、どの程度通院するべきか、通院日数が少ないと判断されるのはどのくらいか、分からないことも多いでしょう。

例えば、週に1回や月に2.3回の通院では、通院日数が少ないと判断される可能性があります。また、通院日数が少ないと、相手方保険会社に「病院に行かなくても良い怪我」「大した怪我ではない」と判断され、早期に治療費の打ち切りをされる場合もあります。

交通事故の慰謝料を計算するうえで、適切な通院日数は平均して月に10日以上、3日に1回の通院が望ましいとされています

しかし、この頻度はあくまでも目安であり、怪我の程度や治療経過などによって適切な通院頻度も変わってきます。その都度、医師と相談してどれくらいの頻度で通院するのかを決するようにしましょう。

骨折等で自然治癒を待つために通院日数が少ない場合

通院日数が少ない理由が、仕事や家事・育児といった被害者側にあるのではなく、ギプス装着などによる自宅療養のためであった場合でも、慰謝料が少なくなってしまったり、一括対応の打ち切りをされてしまうのでしょうか。

このように、医師の判断で通院日数が少ないなどの事情がある場合は、その旨を相手方保険会社に伝えることが大切です。その結果、慰謝料の減額や一括対応の打ち切りを防ぐことができる可能性があります。

また、相手方保険会社との交渉では、以下のようなものを提示すると良いでしょう。

  • 自宅療養や通院日数を指示したことを示す医師の証言や意見書
  • 自宅療養期間中の過ごし方

※自宅療養期間中も痛みなどの苦痛を感じていたこと、怪我のために生活に不自由が生じていたことなどを記載

むちうちなど軽傷であるために通院日数が少ない場合

交通事故の怪我で多い「むちうち」ですが、比較的軽い症状であれば1ヶ月未満で完治することもあり、通院日数が少なくなる場合もあります。しかしながら、交通事故によってむちうちの怪我を負い、治療を受けているわけですから、適切な慰謝料を受け取りたいと考えるのは当然のことでしょう。

こうした比較的軽傷の場合、以下のどちらか小さい方をもとに入通院慰謝料を計算します。

  • 実通院日数×3
  • 通院期間

つまり、週2~3日、月に10日程度通院していれば、弁護士基準により通院期間をもとにして入通院慰謝料を計算することができます。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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一般的な通院日数と通院日数が少ない場合の慰謝料相場の比較

一般的な通院日数の場合と、月に4日(土曜日に1回)しか通院しなかった場合の入通院慰謝料の金額を比べてみます。

【むちうちで通院期間3ヶ月、実通院日数30日の場合】

自賠責基準 弁護士基準
25万8000円 軽傷53万円/重傷73万円

【むちうちで通院期間3ヶ月、実通院日数12日(月4日)の場合】
通院頻度が少ない場合の弁護士基準では、軽傷の場合は実通院日数の3倍、重傷の場合は実通院日数の3.5倍を通院期間として日割計算を行います。

自賠責基準 弁護士基準
10万3200円 軽傷:約22万4000円
重傷:37万6000円

適切な通院日数と比べ、軽傷は約30万円、重傷は約35万円の差額が出るため、通院日数が慰謝料の金額に大きな影響を与えることが分かります。

交通事故の通院日数に関するQ&A

通院日数が1日しかなくても慰謝料をもらえますか?

1日だけ通院した場合でも、入通院慰謝料を受け取ることができます。
しかし、通院が1日だけの場合には、大した怪我ではなく、精神的苦痛も小さいと判断されることがあり、慰謝料の金額も相場より減額された金額になる可能性があります。

通院日数を多くするため、痛くないのに通院してもいいですか?

通院日数が多ければ慰謝料も増えると思われているかもしれませんが、実はそうではありません。慰謝料の対象となる通院日数は、「治療の必要性がある」と認められた日数に限ります。そのため、慰謝料増額を目的とした通院は通院日数にカウントされません。
むしろ、過剰診療として早期に治療費打ち切りの対象となったり、打ち切られなかったとしても、不要な通院として慰謝料が相場よりも減額されてしまうおそれがあります。
通院は医師の判断のもと、適切な頻度で通うようにしましょう。

リハビリでの通院も通院日数や通院期間に含まれますか?

リハビリでの通院も通院日数、通院期間に含まれます。
しかし、注意していただきたいのは、接骨院や整骨院でのリハビリは通院日数に含まれない可能性があるという点です。リハビリを病院ではなく接骨院や整骨院で受けたいとお考えの方は、以下のポイントを守りましょう。

  • 担当医の許可を得たうえで接骨院や整骨院に通う
  • 接骨院や整骨院でのリハビリと並行して病院にも通い続ける

弁護士に依頼することで、適正な慰謝料額を請求できる可能性があります

病院での怪我の治療は、仕事や家事・育児に追われると忘れがちになってしまいます。しかし、適切な慰謝料を受け取るためには、適切な通院日数で通院することが大切です。

「どのくらいの頻度で通院すればいいのか」、「通院日数が少ないけれど慰謝料を受け取りたい」

このように、少しでも通院日数についてお悩みの場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

弁護士であれば、適切な通院日数のアドバイスや、弁護士基準で慰謝料を算出し、相手方保険会社と交渉していきます。

また、相手方保険会社とのやり取りを弁護士に一任できるため、被害者の方の負担を減らすことができるだけでなく、保険会社の提示額より高額な損害賠償金を受け取れる可能性があります。

交通事故でお悩みの場合は、私たちに一度ご相談ください。

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将
監修:弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。