前科とは?生活への影響など
ご依頼者様から、「前科がついてしまうと今後の生活に影響が出るのではないか。」と相談されることが少なくありません。また、「前科がつかないようにしたいのだが、どうすればいいか。」と相談されることも少なくありません。
ここでは、そのようなご依頼者様の不安を解消するべく「前科」についてご説明いたします。
目次
前科とは
前歴とは、捜査機関から逮捕され被疑者として捜査の対象となってことをいいます。これに対して、「前科」とは、刑事裁判により審理され、有罪判決の言い渡しを受け、その刑が確定したものをいいます。有罪判決というのは、懲役刑のみならず、罰金刑や禁固刑も含みます。
なお、捜査機関による捜査の対象となったものの、不起訴処分で事件が終了した場合には前科ではなく前歴にとどまります。
前歴について詳しく見る前科の記録は残るか
前科については、消滅することはありませんが、一定以上の場合には、犯罪人名簿から削除される場合があります。ここでは、犯罪人名簿についてご説明いたします。
犯罪者名簿とは
犯罪人名簿は、市町村で厳重に管理されているもので、前科者の情報等が記載されています。ただ、犯罪人名簿は極めてプライバシー性の高いものであるため、一般に公開されることはありません。
犯罪人名簿から削除されるとき
犯罪人名簿から削除される場合があります。それは、①刑法34条の2の規定により、名簿に登録されている犯歴の刑の言い渡しの効力が失われたとき、②刑法27条の規定により、名簿に登録されている犯歴(執行猶予が付されているものに限る)の刑の言い渡しの効力が失われたときです。
①34条の2の場合は、禁固以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処されないで10年を経過したとき、また、罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処されないで5年を経過したときのことをいいます。
②27条の場合は、刑の全部の執行猶予の言い渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときのことを言います。
インターネット上に情報は残る可能性はある
現代はインターネット社会ということもあり、インターネットで公開された情報を抹消することは困難といえます。しかし、ご自身の情報が記載されているインターネットサイトを発見した場合には、削除してもらえる可能性もありますから、弁護士に相談し、削除してもらえるよう交渉してもらうことも可能です。
前科がつくことによる生活への影響
就職に不利になることがある
一般企業における就職活動の際、ご自身の前科を申告する必要があるのか、という質問をよく聞きます。提出を求められている履歴書に「賞罰」の欄があれば、記載しないと経歴を詐称したことになりますが、「賞罰」の欄がないにもかかわらず、申告しなければならない義務はなく、申告しなくても経歴を詐称したということにはなりません。
また、前科があると就くことができない職業が存在します。例えば、国家公務員や地方公務員、弁護士、司法書士、教員、警備員等です。ここに挙げたのは具体例にすぎませんので、ご注意ください。
前科は離婚の理由になるか
前科がついたとしても、そのことが直ちに離婚事由になるわけではありません。もっとも、前科の対象となった犯罪行為の態様等などを総合的に判断し、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に該当すると判断される可能性はあるので注意が必要です。
ローンは組めるか
ローンを組むにあたり、信用情報機関は、信用情報を基に判断することになりますが、その信用情報に前科・前歴という情報は記載されません。したがって、前科・前歴の存在が、ローンの審査に影響することはありません。
生活保護や年金はもらえるか
生活保護や年金を支給するにあたって、前科の有無は判断要素にならないので、前科があったとしても、生活保護や年金を受給することができます。
海外旅行はできるか
旅券法13条に、「死刑、無期若しくは長期2年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者」にはパスポートを発給しない旨が記載されているため、この場合には海外旅行をすることができません。
他方、日本でパスポートの発行が認められたとしても、渡航先の入国審査により入国できない場合もあります。
前科は回避できるのか
不起訴処分となれば前科はつかない
既に述べたとおり、逮捕されたとしても、不起訴処分の場合には、前科ではなく前歴にとどまります。したがって、逮捕された場合には、不起訴処分を獲得するべきだと言えます。
起訴された場合の有罪率は99.9%であり、前科がついてしまうことになります。そうならないためにも早期の段階で弁護士に依頼するべきといえます。
不起訴処分には示談の成立が重要
起訴される前の段階で、被害者との間で示談が成立した場合には、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。仮に起訴されたとしても、示談が成立していることにより、刑が軽くなる可能性が高くなります。逆に、被害者との間で示談ができなかった場合には、不起訴処分を獲得することが難しくなります。
被害者は加害者との示談交渉を避ける傾向がとても強くありますが、弁護士との交渉であれば、被害者が受け入れてくれる可能性が高くなります。
前科がつくのを回避するには、弁護士へご相談ください
被害者との間に示談が成立した場合には、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。前科がつくことにより、様々なデメリットを受ける可能性があります。
弊所の弁護士は、被害者との示談の交渉をし、不起訴処分を多く獲得してきました。示談交渉については、専門家である弁護士が行うことにより、示談が成立する可能性が高くなります。弊所の弁護士であれば、少しでもご依頼者様のお力になれることがあるかと思います。 まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修
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兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。