家宅捜索とは?
家宅捜索の条件やタイミング、
捜索後の対応について
ある人物が特定の犯罪事実に関与しているとの疑いがあり、自宅に犯罪の証拠があると目される場合、警察などの捜査機関による自宅の捜索(家宅捜索)を受けることがあります。
このページでは、家宅捜索がなされるきっかけや条件、タイミング、捜索後の対応などについて解説します。
目次
家宅捜索とは
家宅捜索とは、警察などの捜査機関が犯罪の証拠を入手するため、被疑者の自宅等(場合によっては個人宅だけでなく、会社のオフィスなども含まれます。)を捜す捜査をいいます。
その目的は、特定の犯罪事実に深く関与していると思われる人物の自宅等にはその犯罪の証拠が存在する可能性が高いことから、その証拠を捜し、押収することにあります。
家宅捜索は拒否できない
家宅捜索は強制処分、つまり捜査機関が対象者の意思に関わらず強制的に行う捜査として認められているため、たとえ対象者が自宅へ立ち入られたくない、自分の物を押収されたくないなどと思っても、拒否することはできません。
家宅捜索の条件
家宅捜索は、裁判所の発付する許可状(捜索差押許可状)に基づいて行われます。
逮捕状により逮捕される場合にその逮捕が問題ないかを裁判所が事前に審査するのと同様に、捜索差押許可状が出されるにあたっては、その住居等に犯罪の証拠が存在する可能性があるのかを含め、そこで捜索・差押えを行うことについて問題ないか、事前に裁判所によって審査されます。
警察の捜査が始まるきっかけ
被害届が提出された
警察による捜査が始まるきっかけとして、犯罪の被害者が警察に被害届を提出したり、刑事告訴したりすることで、警察が犯罪事実を知ることになる場合があります。
また、被害者や目撃者などに通報されることで、警察が犯罪事実を知ることになる場合や、犯罪に関わっているのではないかと疑われる人が警察に職務質問を受け、その中で警察が犯罪事実を知ることになる場合があります。
家宅捜索のタイミング
捜査機関が家宅捜査を行える時期について、法律上は特に制限されておらず、起訴される前・起訴された後のいずれにおいても捜索をすることができるとされていますが、通常、事件の捜査は起訴前に完了するため、実際に家宅捜査が行われるのは、警察が犯罪事実を知ってから、起訴されるまでの間になります。
証拠隠滅を防ぐため、家宅捜査は通常、対象者への予告なしに突然行われます。
家宅捜索の対象
家宅捜索にあたっては、不当な捜索を防止するため、家宅捜索の対象について裁判所が事前に審査し、捜索できる範囲や差し押さえることのできるものの範囲が記載された捜索差押許可状が発付されます。許可状に書かれていない(裁判所が許可した範囲を超える)捜索・差押えについては、強制処分として行うことを裁判所が認めていないわけですから、行うことはできません。
捜索差押許可状の内容の確認
捜索差押許可状(令状)には裁判所に認められた捜索・差押えの範囲が記載されており、捜索の開始前にその内容が読み上げられることになっています。
令状の読み上げを聞いたり(録音すれば、不当な捜索が行われた場合の証拠とすることができます)、令状を見せてもらったりして、必ず令状の内容を確認しましょう。また、捜索開始後は、令状に書かれていない範囲まで捜索・差押えされていないか、警察の動きをしっかり確認しなければなりません。
差し押さえられたものの返却について
証拠品として差し押さえられたもののうち、すでに警察や検察が精査し、証拠として置いておく必要が無くなったものについては、事件が終了する前であっても、返還されます。
家宅捜索されることが多い犯罪
覚醒剤取締法違反や大麻取締法違反などの薬物事件は、被疑者の自宅に薬物や器具などの証拠品が存在することが多いため、家宅捜索が行われることが多くなっています。
また、窃盗や児童ポルノなどについても、同じく被疑者の自宅に犯罪で得た物や犯罪で使用された物が存在する可能性が高いため、家宅捜索を受けることが多い事件類型といえます。
窃盗について詳しく見る 児童ポルノについて詳しく見る家宅捜索に弁護士の立ち会いは可能か
家宅捜索では、その住居の住人やその同居人、会社であれば代表者か従業員などが家宅捜索に立ち会わなければなりません。
弁護士の立会いについて、弁護士が被疑者の弁護人として立ち会うことは法律上認められていませんが、その住居の住人あるいは会社代表者に指名された、いわば家宅捜索の立会いについての代理人として家宅捜索に立ち会うことは認められています。
家宅捜索での対応と弁護士ができること
家宅捜索では、令状の記載に反して事件に関係のないものまで押収されてしまうこともあり、違法な捜査はなかったかチェックし、もし違法な捜査があれば、その旨を主張する必要があります。
また、家宅捜索の結果、犯罪の嫌疑が高まったとして、逮捕されてしまうことは少なくありません。このような場合、家宅捜索によって必要な証拠が収集されたことで証拠隠滅のおそれが無くなり、ひいては逮捕の必要性も無いなどの主張を行うことで、逮捕・勾留を避けられる可能性があります。
家宅捜索を受けてしまった場合、早期に弁護士が介入すれば、上記のような弁護活動を行い、不当な家宅捜索や逮捕などについて争うことができます。
家宅捜査を受けた場合は、早期に弁護士へ相談を
家宅捜索を受けた場合、その内容に問題(違法性)が無いかどうかは専門家でなければ判断しがたいですし、家宅捜査に続いて逮捕されてしまう場合もあります。早期に弁護士に相談することで、不当な家宅捜査や逮捕・勾留について争うことができます。家宅捜索を受けた場合は、ぜひ早期に弁護士にご相談ください。
この記事の監修
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兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。