交通事故によるめまいで慰謝料はもらえるのか

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交通事故によるめまいで慰謝料はもらえるのか

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将

監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士

交通事故に遭ってしまった後に起こる、身体・精神的な症状にはさまざまなものがあり得ます。
「めまい」は交通事故後に起こる症状として決して珍しいものではありません。しかし、何が理由でめまいが起こっているのか、そもそも交通事故と関係しているものなのかなど、ご不安を抱かれるでしょう。
この記事では、交通事故後の症状としてめまいが起こった場合に、どんな傷病が疑われるのか、慰謝料を請求できるのか等について解説していきます。

交通事故によるめまいで慰謝料はもらえるのか

交通事故に遭ってしまった後、めまいがするようになるケースは少なくありません。
しかし、めまいがする、という自覚症状だけでは、慰謝料を請求することは難しいのが現状です。めまいという症状を理由として慰謝料を請求するためには、交通事故とめまいがすることの因果関係が医師によって客観的に証明され、後遺障害等級(交通事故によって残った後遺症の段階を14段階に分けたもの)の認定を得る必要があります。

交通事故でめまいが起こる原因

交通事故では、事故に遭った直後には自覚がなくても、後から症状が現れることがあります。症状の中には放置していると危険なことになりかねないものもあります。大した怪我であるように思わなくても、事故に遭った場合はできるだけ早く病院で検査を受けることが重要です。
以下では、交通事故によるめまいの原因として、代表的なものを紹介します。

良性発作性頭位めまい症

人間の内耳の中には、耳石と呼ばれるものがあります。炭酸カルシウムでできており、これが動くことによって、脳が垂直方向の傾きを感じることができます。
事故の衝撃によって、この耳石が内耳から剥がれて三半規管の中に入り込み、三半規管の内部のリンパ液の流れが乱されると、実際の身体の動きと脳の感覚にずれが起き、めまいが発生します。これを、良性発作性頭位めまい症といいます。
多くの場合は自然治癒しますが、三半規管に入り込んでしまった耳石を取り出す浮遊耳石置換法という治療によって取り出すこともできます。

外リンパ瘻

内耳の中には、外リンパ液が流れている蝸牛窓や前庭窓などの器官がありますが、事故の衝撃でそれらの器官から外リンパ液が流れ出てしまい、平衡感覚や聞こえ方を司る有毛細胞に悪影響が出てしまうのが、外リンパ瘻です。
自然治癒する場合が多いですが、長期間に及んだり、程度が甚だしかったりする場合は、外リンパ瘻閉鎖術という治療法が必要になることもあります。

むちうち

事故の衝撃によって、首がむちのようにしなったことによって神経が損傷し、さまざまな症状が現れることを、一般的に「むちうち(症)」といいます。
むちうちの症状には、頭・首・肩・腕の痛み、首を回すことができなくなる、吐き気などがありますが、めまいもむちうちの代表的な症状のひとつです。むちうちの症状は、多くの場合、整形外科に通院してリハビリを行うことによって改善します。

バレリュー症候群

交通事故による衝撃によって自律神経が急激に刺激され、さまざまな症状が現れることがあります。自律神経の不調に起因して起こるものを、バレリュー症候群といいます。代表的な症状としては、頭痛や耳鳴り、脱力感、めまいなどがあります。これについても、整形外科でリハビリなどの治療を受けることで改善が期待できるほか、星状神経節ブロックという麻酔注射を施すこともあります。

軽度外傷性脳損傷

交通事故の衝撃によって脳に強い衝撃が加わり、損傷を受けることによってさまざまな症状が現れることがあります。そのなかでも、意識に異常はなくとも頭痛や耳鳴り、めまいが発生するケースを軽度外傷性脳損傷といいます。「軽度」といっても症状が軽いというわけではなく、あくまでも意識に重大な障害がないという意味です。これについては、放置していると症状が悪化して重い障害が残るおそれがあるため、早期に精密検査をすることが望ましいとされています。

脳脊髄液減少症

交通事故の衝撃で、脳と脊髄の間を隔てている硬膜が損傷すると、そこから髄液があふれてしまうことがあります。それによる硬膜内部の圧力の低下から引き起こされる諸症状を、脳脊髄液減少症といいます。主たる症状は頭痛ですが、めまいを併発する場合もあります。治療法としては、安静にして水分摂取に努めるほか、損傷した箇所を自身の血液で塞ぐブラッドパッチ治療などがあります。

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交通事故から数日後にめまいがした場合は、むちうちであることが多い

交通事故に遭ってから数日後にめまいの症状が発生した場合、上記の傷病も疑われますが、まずはむちうちを疑いましょう。整形外科を受診し、交通事故にあった旨を伝えて、検査をしてもらうことが重要です。むちうちでない傷病が疑われる場合は、医師の指示に従い、別の病院や科を受診し、さらに詳しい検査を受けます。

めまいで後遺障害等級認定を受けるためには検査が必要

交通事故の後にめまいを感じ、整形外科などで治療を続けても症状が改善しない場合は、交通事故によって後遺症が残ったとされる後遺障害等級認定を受けることができます。これにより、慰謝料を請求することが可能になります。
ただし、後遺障害等級認定を受けるためには事故と症状の関係が医学的に証明される必要があります。めまいの場合、CTなどの画像検査に加えて、眼球運動に関する検査や、片足立ちをすることによる平衡検査、文字を書いて傾きを調べる書字検査などによって、総合的に判断することになります。

めまいで認定される可能性のある後遺障害等級

後遺障害等級は、後遺症のある部位やその内容、障害の程度や労働能力の低下の程度によって判断されます。
例えば、めまいの症状について、検査による異常所見は認められないが医学的な説明が可能という場合は後遺障害等級14級、検査によって異常所見が認められる場合は12級、検査によって異常が認められたうえで、めまいによって就労できる職種が著しく限定される場合は9級というように、後遺障害等級は症状・障害の程度によって等級が変わります。9級以上が認定されるのは、めまいだけでなく、頭痛や耳鳴りなどの複合的な症状が出ている場合や、高次脳機能障害などの障害を併発している場合がほとんどです。症状・障害の程度によっては、7級、5級、3級という等級が認定されることもあります。

交通事故後にめまいが続く方は弁護士にご相談ください

交通事故では、その場では無傷にみえても、数日後にさまざまな症状が現れることがあります。めまいはその代表的なものといえます。整形外科などの診察を受け、必要であれば検査をすることが重要です。

弁護士法人ALGでは、多くの交通事故案件をあつかっており、ご依頼者さまの症状を伺い、後遺障害等級認定を得るための通院のしかたのアドバイスや、認定のための申請、相手方の保険会社との交渉など、経験豊富な弁護士が行います。めまいの症状が現れている場合、交通事故との因果関係の立証もご依頼者さまに代わって尽力いたします。

交通事故後にめまいの症状が続いているが、慰謝料は請求できるのか、このまま通院を続けていていいのか、後遺障害として認定されるのかなど、お悩みの場合は、交通事故案件の実績が多くある弊所に、ぜひご相談ください。直接のご来所が難しい方のために、電話相談も行っております。

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将
監修:弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。