絶縁した兄弟姉妹がいる場合の遺産相続はどうしたらいい?

相続問題

絶縁した兄弟姉妹がいる場合の遺産相続はどうしたらいい?

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将

監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士

遺産相続は、家族間の関係が円満であれば比較的スムーズに進むことが多い一方、兄弟姉妹が絶縁状態にある場合、手続きは複雑化しやすく、深刻な対立を招くことがあります。

このような、感情的な断絶や連絡拒否があると、遺産分割協議が進まず、調停や訴訟に発展するなどの問題が生じる可能性があります。

また、遺産分割をせずそのまま放置すると、相続財産の範囲が不明確になったり、財産が散逸したりと、更なるトラブルを招きかねません。

そこで、本記事では、兄弟間の絶縁が相続手続きに与える影響と、円滑な解決に向けた対策について解説させていただきますので、ご参考にしていただければと思います。

絶縁した兄弟姉妹との遺産相続はどうなる?

絶縁していたとしても兄弟姉妹(相続人)である以上、被相続人の遺産を承継する権利があります。

そのため、たとえ絶縁した他の相続人がいる場合であっても、遺言書等で相続財産の分配方法や受取人が指定されている場合等でなければ、遺産分割協議を行わなければならず、その協議で相続人全員の同意を得る必要があります。

次項では、絶縁した兄弟姉妹がいる場合の遺産相続の具体的な進め方をケース別に解説いたします。

絶縁した兄弟姉妹がいる場合の遺産相続の進め方

相手の連絡先を知っているケース

絶縁した兄弟姉妹がいる場合でも、相手の連絡先を知っている場合、遺産分割協議を行う旨の通知をし、遺産分割協議を試みることが求められます。
この通知を怠り、勝手に相続手続きを進めてしまうと、後から「その遺産分割協議は無効だ」といったトラブルになる可能性があります。

遠隔地にいる等の事情で、対面で遺産分割協議を行えない場合であっても、手紙やメール等の方法によっても進めることは可能です。
また、絶縁している理由次第では、弁護士が介入することによって、他の相続人と直接やり取りをせずに、遺産分割協議を進めることができます。

遺産分割協議を持ちかけても、相手がまともに話し合いに応じない、連絡を無視する場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てた上で、家庭裁判所を通じて遺産分割を進めていくことになるでしょう。

相手の連絡先を知らないケース

相手の連絡先を知らないケースでは、まず被相続人の戸籍の附票を取得し、戸籍に記載された兄弟姉妹の本籍を調査して、住民票を取得して現住所を調べる必要があります。現住所が判明したら、相手に遺産分割協議の案内を書面で送付し、遺産分割協議を進めましょう。

もっとも、このような所在調査をすることは煩雑であり、労力がかかりますので、連絡先を知らないケースではまず弁護士に相談した上で方針を決める方が安心といえます。

所在調査をしてもなお、所在不明な場合は、家庭裁判所に対して「不在者財産管理人」の選任申立手を行い、「不在者財産管理人」を通じて遺産分割協議若しくは遺産分割調停を行うことになります。

相手の生死が7年以上不明のケース

相手の生死が不明であっても、戸籍上は相続権を保持しているため、そのままでは遺産分割協議を進めることは出来ません。

もっとも、7年以上生死不明の場合、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てることができ、認められると、法律上は死亡しているものとみなされ、相続権を失います。

また、別の制度として、災害や事故で死亡がほぼ確実であるが、ご遺体が確認できない場合に用いられる「認定死亡」という制度もあり、この制度を用いれば生死不明期間を待たずに、戸籍上「死亡」と記載され、相続手続きが可能になります。

これらの制度を使えば、死亡したものと取り扱われますので、絶縁した兄弟姉妹に配偶者や子どもがいない限り、遺産分割協議から除外して遺産分割協議を進めることが可能です。

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絶縁した兄弟姉妹に相続させたくない場合の対処法

最も確実で効果的な方法は、被相続人に生前贈与をお願いするか、若しくは「絶縁した兄弟姉妹には相続しない」旨の遺言書を作成してもらうことです。これらの方法を適切に用いれば、絶縁した兄弟姉妹に相続させる金額を減らすことができます。

絶縁した兄弟姉妹に相続させたくない場合には、まず、兄弟姉妹と連絡を取り、被相続人が死亡した事実を伝え、相続放棄若しくは相続分譲渡証明書の作成に協力してもらえないかを打診することが必要になります。

絶縁しておりもう関わりたくないといった事情や、事業を継ぐ必要がある等の事情次第によっては、相続放棄、相続分譲渡証明書の作成に応じてもらえる可能性があります。

また、絶縁した理由次第によっては、相手方が「相続欠格」や「廃除」の事由に該当し、相続人から除外することが可能です。
もっとも、これらの制度によって相続権を失ったとしても、代襲相続は認められているため、除外された相続人に子供がいるかは別途確認する必要があります。

絶縁した兄弟姉妹との遺産相続を弁護士に相談するメリット

絶縁した兄弟姉妹との遺産相続を進めるには、所在調査や家庭裁判所に対し、失踪宣告や不在者財産管理人選任申立などをする必要がありますが、弁護士であれば、戸籍の附票や住民票を取得できますので所在調査を進めることができます。

また、申立て等の法的手続きを代行して行うことができますので、そのような絶縁状態の場合でも、法的に有効な方法で手続きを進めることができるのがメリットです。

また、弁護士に依頼すれば、相続人全員の合意が必要な遺産分割協議を、法律に基づいて正しく進めるできますので、無効な協議になることや手続きミスによるトラブルを回避することができるのもメリットであるといえるでしょう。

絶縁した兄弟姉妹との遺産相続についてのQ&A

絶縁した兄弟に遺産相続の連絡をしましたが返事がありません。放っておいて手続きを進めても良いですか?

繰り返しにはなりますが、相続人全員でする「遺産分割協議」が必要であり、この協議をしなければ、当然に分割される財産や債権を除き、原則として遺産を共有している状態になります。
そのため、遺産を共有している他の相続を除外して協議を進めても、その協議は無効となります。

絶縁した理由にもよりますがトラブルになる可能性が非常に高いといえるので、絶縁した兄弟からの返事がないからといって、放っておいて手続きを進めることはやめるべきです。

遺言書に絶縁した兄弟の名前がありませんでした。連絡せずに相続手続きしても良いですか?

連絡せずに相続手続きを行えるか否かは、どのような方式で遺言書を作成しているかによって変わりますので、それぞれの場合に分けてご説明させていただきます。
公正証書遺言による方法で作成している場合は、家庭裁判所の検認が不要になりますので、原則としてそのまま遺言の効力が生じます。
特に、遺言書の中で遺言執行者が指定されている場合には、預貯金の払戻しや名義変更を遺言執行者単独で行うこともできます。

自筆証書遺言(法務局保管制度を利用しているケース)の場合は、家庭裁判所による検認が必要になり、その際に、家庭裁判所から絶縁した兄弟姉妹を含む法定相続人全員に連絡が行くため、連絡せずに相続手続きをすることは困難です。

自筆証書遺言(法務局保管制度を利用していないケース)の場合は、家庭裁判所による検認は不要です。
しかし、被相続人(遺言者)が死亡した後、相続人等が法務局に対して「遺言書情報証明書」を請求した場合、法務局から絶縁した兄弟姉妹を含む他の相続人全員に対し、遺言書が保管されている旨の通知が届きますので、一切連絡せずに相続手続きをすることは出来ません。

絶縁状態の兄弟に連絡をせず勝手に遺産分割や相続手続きを行ったらどうなりますか?

遺言書が無い場合において、「遺産分割協議」は相続人全員の合意が必要となります。したがって、絶縁状態の兄弟に連絡せず除外して協議を進めたとしても、相続人全員の合意とは言えませんので、その協議は無効となります。

無効な「遺産分割協議」に基づいて、手続きを進めてしまうと、後日絶縁状態にある法定相続分を請求されたり、調停や審判を起こされる可能性もあります。
このような後日のトラブルを避けるためにも、兄弟に連絡を取り、連絡が取れない場合は連絡先や所在調査を進めた上で、法的に適切な対応をすべきでしょう。

兄弟姉妹との遺産相続でトラブルにならないためにも弁護士にご相談ください

兄弟姉妹との遺産相続は、感情のもつれや価値観の違いから、思わぬ法的なトラブルに発展することが少なくありません。

絶縁した兄弟姉妹ならなおさらです。話し合いが難航すれば、手続きが長引き、相続人間の関係悪化や、交渉から調停や訴訟に移行するといった法的紛争に発展するリスクもあります。

こうした問題を避け円滑に手続きを進めるためには、弁護士に相談することが最も確実といえます。弊所の弁護士は、多くの相続事件を経験しておりますので、ぜひ弊所の弁護士までお気軽にご相談下さい。

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将
監修:弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。