養育費とは|相場と変更方法|請求したい・請求された場合の対応

養育費とは|相場と変更方法|請求したい・請求された場合の対応

子どもと離れて暮らす親(非監護親)は、子どもに対して、養育費を支払わなければなりません。

ここでは、養育費の取り決め方法や変更方法についてご説明いたします。

目次

養育費とは

養育費とは、未成年の子どもが生活するために必要な費用のことをいいます。親は、直系卑属である子どもに対して扶養義務(民法877条1項)を負っているため、親権者であるかどうかにかかわらず、養育費を支払わなければなりません。

養育費の支払義務は、子どもが最低限の生活をするための扶養義務という意味ではなく、自分の生活を保持するのと同程度の生活をさせる義務、すなわち「生活保持義務」と言われています。

養育費に含まれるもの

養育費に含まれる費用については、明確化されているわけではありません。

養育費とは未成年の子どもが生活するために必要な費用のことを言うので、一般的には、衣食住の費用、教育費、医療費、適切な娯楽費が含まれると考えられています。

養育費の相場は?養育費算定表による支払額の決め方

養育費は、裁判所が作成している算定表を用いて算出されます。

養育費に関する算定表は、実務が使用しているものになりますので、原則として、算定表を用いて、養育費が算出されることになります。

養育費の支払期間はいつからいつまで?

養育費は、子どもの生活に要する費用であるため、子どもが養育費を支払うべき親と同居していない時点から発生しているのが原則です。もっとも、実務上では、養育費の請求を受けたときから支払義務が発生していると考えられています。

他方、未成年者が成人に達した場合には、労働により自分で生計を立てるのが原則となり、子どもに対する扶養義務としての養育費の支払義務はなくなります。したがって、成人に達するまで養育費の支払義務は存在しています。

離婚する夫婦の学歴等を考慮し、子どもが大学を卒業するまで養育費を支払うべきであると判断されれば、子どもが22歳になるまで養育費を支払わなければなりません。

養育費の請求・支払いに時効はある?

養育費の支払いに時効があるかどうかについては、養育費の取り決めをしていたかどうかによって結論が異なります。

協議離婚において養育費の取り決めをしていた場合には、すでに養育費に関する請求権が発生していることになるので、5年の時効となります。また、調停や裁判によって養育費の支払いについて決められていた場合には、時効は10年となります。

他方、養育費について取り決めがされていなかった場合には、請求する前に関する養育費は請求できないことになります。

養育費の取り決め・手続(変更)の流れ

まずは話し合いを試みる

まずは、当事者同士で養育費に関する話合いを行ってみましょう。養育費の金額・支払方法・支払いの始期と終期等の合意ができれば、合意した内容を書面に残しておきましょう。

どういった内容を記載するべきなのかわからないという方は、一度弁護士に相談することをお勧めします。

話し合いを拒否された場合、通知書(内容証明郵便)を送る

相手方に対して、養育費の話し合いを求めているにもかかわらず、相手方に話し合いを拒否された場合など、内容証明郵便を送ることが考えられます。

内容証明郵便とは、●月●日に、誰が誰に対して、●という内容の手紙を送ったということを証明してくれる郵便のことをいいます。●月●日に養育費の請求をしたということを証明することができ、内容証明郵便を送るメリットがあるといえます。

また、相手方が内容証明郵便を受け取り、急に態度を変えて、話し合いに応じる可能性もあります。

話し合いで決まらなかったら調停へ

話し合いを行ったものの合意することができなかった場合や相手方が話し合いに応じない場合には、裁判所に対して、養育費請求調停を申し立てることが考えられます。調停は、裁判所を通して話し合いを行う手続きになるので、当事者同士の話合いが上手くいかなかった場合に採られる手段です。

当事者同士の話合いができなくても、調停では話合いを円滑に行える可能性があります。

養育費に関する合意書は公正証書で残しておく

当事者同士の話合いにより、養育費に関する合意ができた場合、公正証書を作成するといいでしょう。

なぜなら、公正証書は、相手方が養育費を支払わなかった場合に、相手方の財産を差し押さえることができるからです。

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養育費を請求する方(権利者)

以下では、養育費を請求する人に向けてご説明いたします。

「養育費を請求する方」を「権利者」と表現いたします。

公正証書もあるのに、相手が養育費を払わない・払ってくれなくなった

養育費の金額等を記載した公正証書があるにもかかわらず、相手方が養育費を支払わない場合、もしくは、ある時点までは養育費を支払ってくれていたのに、途中から養育費を支払ってくれなくなった場合、強制執行をすることが可能です。強制執行をすることにより、相手方の財産や給与を差し押さえ、そこから養育費を受け取ることができます。

そして、令和2年4月に民事執行法が改正され、「第三者からの情報取得手続」が行えるようになり、市町村又は年金事務所等への開示請求を行い、相手方の居場所、勤務先や銀行口座などの情報を取得することができるようになりました。

一括で請求はできる?

養育費は、定期的な給付になりますので、分割払いが原則となります。

しかし、相手方が一括払いを了承し、双方が合意することができれば、養育費の一括払いは可能となります。

養育費を一括して受け取る場合、相手方が養育費を支払わなくなるという事態を回避することができるというメリットはあります。

他方、権利者側の事情が変わり、さらに養育費を追加して支払ってほしいという場合には、その請求は認められない可能性が高くなります。

また、養育費を一括して受け取ることにより、課税対象となってしまい、税金がかかってしまうので、注意が必要です。

きちんと払ってもらえるか不安なので連帯保証人をつけたい

「相手方が養育費をきちんと支払ってくれないかもしれないから、連帯保証人を付けたい」と考える方は多いように思います。相手方が連帯保証人をつけることを了承した場合には、連帯保証人をつけることは可能です。

もっとも、公正証書や調停条項に連帯保証人を記載することについては、公証人や裁判官は難色を示すことが多いのです。養育費の支払義務は、親だからこそ負う義務であり、父親と母親以外の誰かに転じることはありません。そのため、主債務者(支払義務を元々負っている人)が亡くなると、連帯保証債務は相続されるのが通常であるにもかかわらず、養育費の支払いに関する連帯保証債務の場合には、主債務者である父親または母親が亡くなれば、その父母といった相続人に相続されることはありません。そのため、公証人や裁判官は連帯保証人をつけることに難色を示すことが多いのです。

もっとも、法律上、公正証書や調停調書に記載することが禁止されているわけではないため、公証人や裁判官が承諾すれば、連帯保証人をつけることは可能です。

金額を決めた当初と事情が変わったので増額してもらいたい

養育費の金額を決めた当初とは事情が変わった場合には、養育費の金額を求めることができます。もっとも、些細な事情で増額が認められるわけではありません。

例えば、権利者がリストラにあった場合や破産してしまった場合、子どもや権利者が重い病気にかかってしまい、収入が減ったり、高額な医療費を支払わなければならなくなった場合等です。

このような場合には、養育費の金額を増額できる可能性があります。

養育費を減額してほしいと言われた

相手方から養育費を減額してほしいと言われた場合、相手方の事情によっては、減額が認められる可能性があります。相手方がリストラにあった場合や破産してしまった等、事情が変化した場合が考えられます。

相手方の主張を無視することなく、事情の変化があったかどうかを聴取する必要があります。

妊娠中の離婚でも養育費を受け取れる?

結論からいうと、妊娠中の離婚であっても、子どもが生まれた以降に、養育費を受け取ることができます。

協議により、相手方が養育費を支払う旨の合意ができれば、養育費を請求することができます。相手方が支払いに応じない場合には、出産後、相手方に対して、強制認知の請求をし、その後、養育費を請求することができます。

養育費を受け取りながら生活保護を受けることはできる?

結論として、養育費を受け取りながら生活保護を受け取ることは可能です。

養育費の金額を算定するにあたって、生活保護費は考慮されないと考えられています。なぜなら、生活保護は憲法25条に基づいて最低限度の生活を保護するために支給されるものであり、養育費とは性質が異なるからです。

養育費はいらないので子供を会わせたくない

養育費はいらないと主張される方は多くいらっしゃいます。

もっとも、養育費は子どもの権利であるため、監護親が放棄することはできません。

なぜなら、養育費は、子どもの生活に要する費用であり、子どもが受けるべきものであるからです。

養育費を払う方(義務者)

以下では、養育費を払う人に向けてご説明いたします。

「養育費を払う方」を「義務者」と表現いたします。

増額請求をされたが、応じなければならない?

養育費の増額請求をされた場合であっても、必ず応じないといけないとは限りません。

相手方において、養育費の増額を請求する根拠を示してもらい、話し合う必要があります。

自分の生活が大変なので減額したい

自分の生活が苦しくなり養育費の減額を請求したいという場合、相手方に対して、自分の現状を説明しましょう。養育費の減額が認められる事情としては、給与が大幅に減額された、再婚し扶養家族が増えた等の事情があれば、減額が認められる可能性があります。

養育費を払えず(払わず)にいたら強制執行をされた

養育費を払えず(払わず)にいたら強制執行されて給与債権を差し押さえされたという方もいらっしゃると思います。給与が下がり、養育費を払えなくなった(払わなくなった)場合には、その事情を相手方に説明してみましょう。その際、相手方に、自分は「支払う意思があること」、「今後必ず払っていくこと」を伝え、強制執行を取り下げるようお願いしてみましょう。

相手方との話し合いで、養育費の減額若しくは免除が認められなかった場合には、養育費の減額調停・免除調停を申し立てましょう。

離婚した相手が生活保護を受けているので、養育費を減額してほしい

結論として、相手が生活保護を受けているという理由で、養育費を減額することはできません。なぜなら、生活保護は憲法25条に基づいて最低限度の生活を保護するために支給されるものであり、養育費を算出する際、相手方の収入として算出されないからです。

養育費は扶養控除できる?

結論として、「生計を一にしている。」と判断できる場合には、扶養控除できます。「生計を一にしている」と判断するためには、①扶養義務の履行として、②「成人に達するまで」等という一定の年齢に限って行われていなければなりません。

このような場合には、養育費を扶養控除することができます。

養育費について困ったことがあったら、弁護士への相談がおすすめ

養育費に関する問題は多岐にわたります。そして、養育費は子どもに関する問題であるため、当事者間の話し合いで解決することが困難なケースがほとんどです。

弊所では、これまで養育費に関する問題を多く取り扱ってきました。養育費に関する問題を多く取り扱った実績のある弊所の弁護士であれば、少しでもご依頼者様の力になることができると存じます。

まずは、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 所長 弁護士 西谷 剛
弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 所長弁護士 西谷 剛
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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