監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士
離婚調停は、裁判所において行う手続ではありますが、訴訟とは異なり、当事者が互いに歩み寄って離婚条件を合意し、円満な解決を目指す手続です。
訴訟ほど厳格な制度ではないものの、多くの方にとって初めての手続になりますので、離婚調停を申し立てる、又は申し立てられた際に、1人で対応できるのかと不安になられる方も多いかと思います。
本記事では、弁護士に依頼しなくても1人で対応できるのか、弁護士に依頼せずに1人で離婚調停を行うことのメリット・デメリットについてご紹介させていただきます。
目次
離婚調停は弁護士なしでもできる?
離婚調停は、弁護士に依頼しなくても、ご自身だけで手続を進めることは可能です。実際に、約半数の方が弁護士をつけずに離婚調停を行っております。
もっとも、離婚調停において、弁護士をつけずに行うことはメリット・デメリットどちらもあります。この点について、下記の項目で詳しくご説明させていただければと思います。
なお、離婚調停については、別記事で取り上げておりますので、ご覧ください。
弁護士なしで離婚調停する人の割合はどれくらい?
毎年、裁判所から発表されている『家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等』によると令和6年の婚姻関係事件の調停の内、約34.8%が双方とも手続代理人がついておらず、双方代理人が付いている約32.9%とほぼ同割合となっています。
このデータに基づけば、離婚調停の約3件に1件が、双方かどちらか一方に弁護士がつかず、当事者同士だけで行われていることになります。
自力で離婚調停を申し立てる方法
ご自身で離婚調停を申し立てる場合であっても、弁護士がついているか否かにかかわらず、基本的に必要となる書類や費用は同じです。
必要書類として、⑴離婚調停申立書、⑵事情説明書、⑶未成年の子がいる場合は、子についての事情説明書、⑷夫婦の戸籍謄本、⑸年金分割を求める場合は、年金分割のための情報通知書が求められます。
また、費用については、①収入印紙1200円(子供1人につき1200円)、②連絡用郵券(郵便切手)を用意し、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)のwebサイトに詳細が載っておりますので、ご確認下さい。
弁護士なしだと離婚調停で不利になる?
当然のことではありますが、弁護士がついていないからといって、離婚調停の場において、法律上不利に取り扱われることはありません。
しかしながら、離婚調停は、裁判所を通じた法的な手続であるため、離婚や家事調停の法的手続についての理解が一定程度求められることも事実です。
そのため、弁護士に依頼しない場合は、そのような法的知識が不足していたり、相手方と交渉したことが無かったりし、知識や経験の差が出てしまいますので、事実上不利な結果となる可能性はあります。
離婚調停を弁護士なしで対応するメリットとデメリット
メリット
弁護士なしで対応するメリットとしては、費用を大幅に節約できることが挙げられます。弁護士に依頼すると、着手金や成功報酬等の費用で数十万円程度かかることが通常ですが、自分で行えば印紙代や郵券等の実費以外はかかりません。
また、弁護士に依頼すると弁護士のスケジュールに左右されますが、ご自身で対応される場合はそういった心配はなく、自分の予定の都合で準備や対応が可能になります。
デメリット
上記でもご説明した通りですが、離婚や調停手続についての法的知識が求められますので、弁護士がついていないと、適切な主張や反論、証拠の提出ができないことから、不利な条件で合意に至る可能性があります。
さらに、相手方が弁護士を立てている場合は、交渉力や法的知識に大きな差が出ますので、より不利な条件での合意となる可能性があります。
また、書類や証拠の作成をご自身で行う必要があるので、時間と労力がかかってしまうことは大きなデメリットといえるでしょう。
離婚調停で弁護士ができるサポート
離婚調停申立ての手続を代行してもらえる
ご自身で離婚調停を行う場合は、離婚調停申立書や事情説明書、夫婦の戸籍謄本等の必要な書類を作成し、裁判所に提出する必要がありますが、弁護士に依頼すれば、それらの手続を代行することができます。
どのような書類が必要なのか、どうやって提出するのか等の離婚条件以外のことで悩む必要がないことはメリットの1つといえるでしょう。
陳述書や答弁書の作成時にアドバイスしてもらえる
弁護士に依頼すれば、陳述書や答弁書の作成に際し、記載する内容が法的に有効な主張なのかどうかをアドバイスしてもらうことができます。
また、離婚調停で決める必要がある親権、養育費、財産分与などの離婚条件の争点を明確化し、主張書面の記載内容を裏付ける証拠の作成、選定もできます。
ご自身でも作成自体は可能ですが、より適切な内容の書面を出した上で調停期日に望めますので、弁護士に依頼する一つのメリットといえるでしょう。
調停委員と話すときに同席してくれる
弁護士に依頼する場合、調停の場で同席します。そのため、弁護士が依頼者の主張する事実を法的に整理した上で、調停委員に分かり易く説明することが出来ます。
離婚調停といった感情面での対立が大きい事件でも、冷静でかつ論理的に対応いたしますので、調停委員の心証を悪化させることになく、充実した調停期日にでき、結果として早期解決に繋がるといえるでしょう。
離婚条件についてアドバイスがもらえる
離婚条件とは、例えば親権者や面会交流、財産分与等の、離婚時に定める必要がある事柄を指します。
離婚調停は、裁判とは異なり、あくまでも裁判所(調停委員会)を通じた話し合いの場であり、当事者が合意した内容がそのまま離婚条件として決まることになります。
どのような条件であれば納得できるのか、ここはあなたにとって有利だから譲歩すべきでない等を弁護士に相談できるので、ご自身にとって適切なアドバイスを受けることが出来ます。
相手とのやり取りを代わってくれる
離婚調停の期日自体は、調停委員と当事者が交互に別々で話し合いを行うため、直接連絡を取り合うことはありません。
もっとも、期日と期日の間は、1か月から1か月半程度期間が空きますので、その間、直接相手方と連絡を取る必要が出てくることもあります。
弁護士に依頼すれば、相手方と直接連絡をとることはありませんので、精神的なストレスを軽減できることは1つのメリットと考えられます。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚調停を成功に導くポイント
離婚調停を成功に導くポイントは、離婚調停を迅速に申し立て、書面や期日において的確な対応を行うことです。もちろん、ご自身だけでも対応することもできますが、調停手続に馴染みがないことが普通なのではないかと思います。
また、離婚条件について協議することや、証拠や財産目録を作成し提出することは、専門的な知識も求められますので、弁護士に依頼するか、1人で対応する場合であっても、適宜弁護士に相談することが望ましいでしょう。
ひとりで離婚調停を乗り切れるか心配な場合は、一度弁護士にご相談ください
これまでご説明させていただいたとおり、ご自身だけでも離婚調停を対応することはできます。
しかし、慣れない場所で慣れない手続をすることは時間と労力がかかりますし、特に離婚は、当事者の感情面での対立が多くなりがちですので、精神的な負担も大きいかと思います。
弊所の弁護士は、離婚事件を多く経験しておりますので、離婚調停を少しでも有利に進めたい、1人で離婚調停に臨むのは不安だと思われる場合は、ぜひ一度弊所の弁護士にご相談ください。

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保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
