公然わいせつ罪になる行為とは?罰則と逮捕後の流れ

公然わいせつ罪になる行為とは?罰則と逮捕後の流れ

このページでは、どのような行為が公然わいせつ罪にあたるかや、公然わいせつ罪の罰則、逮捕後の流れなどについて解説します。

公然わいせつ罪とは

接見交通権とは

公然わいせつ罪は、社会の健全な性道徳・性秩序等を保護法益としており、特定の人間が被害者となるのではなく(後述のように、目撃者が被害者的な立場になることはあります。)、社会の秩序・風紀が乱されることが被害にあたります。

公然わいせつ罪の刑罰

公然わいせつ罪の法定刑は、6月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

公然わいせつ罪の構成要件

公然わいせつ罪は、「公然と」「わいせつな行為」をしたときに成立します。

公然わいせつ罪における「公然」

公然わいせつ罪における「公然」とは、わいせつ行為を不特定または多数人が認識できる状態をいいます。不特定多数の人が認識できる状態であれば、実際に不特定多数の人がわいせつ行為を認識していなくても、「公然」と行われたといえます。

公然わいせつ罪における「わいせつな行為」

公然わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいいます。公園や路上などの公共の場での局部の露出や性行為、インターネット上で不特定多数の利用者に裸体や性行為の動画をリアルタイムで配信・閲覧させる行為などが該当します。

身体露出の罪との違い

軽犯罪法の「身体露出の罪」は、人に嫌悪感を催させるようなやり方で尻や腿(もも)、乳房など身体の一部を露出した場合に成立します。大まかにいえば、公然わいせつ罪とは露出する部位や行う行為によって区別され、性器の露出や性行為は公然わいせつ罪、尻や乳房など、性器ではないが通常は衣服で隠れている部分の露出は「身体露出の罪」となります。

逮捕後の流れ

公然わいせつ罪の場合、公然わいせつ行為の目撃者がすぐに通報、あるいは自ら逮捕するなどして現行犯逮捕される場合もあれば、行為時には逮捕されなかったものの、防犯カメラの捜査などで犯人が判明し、逮捕状が取られて通常逮捕される場合もあります。

逮捕されると引き続き勾留されることが多いですが、公然わいせつ罪の場合、行為の内容がそこまで悪質ではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれもないと判断されれば、勾留されずに在宅での取調べとなることもあります。

公然わいせつ罪で逮捕された場合の弁護活動について

上記のように、公然わいせつ罪では身体拘束を回避して在宅捜査を受けられることとなる可能性がありますが、一旦逮捕されてしまうと、勾留を阻止、あるいは取り消すためには弁護士による活動が不可欠です。

また、処分をできるだけ軽微なものにするためには、不当な内容の調書の作成等をなされないための取調べに向けた弁護士によるアドバイスや、常習者の場合、専門家による治療を受けるなどして再犯防止のための努力をしていることを証拠化することなどが有効です。

実質的な被害者がいる場合

公然わいせつ罪は、公然のわいせつ行為により社会の性道徳・風紀に害悪を及ぼすことを処罰するもので、法的には個人の被害者は存在しません。

しかし、わいせつ行為を目撃した(させられた)人のように、実質的に被害者的立場にある人が存在する場合があります。この場合の実質的な被害者との示談は刑事事件の処分に向けた有利な事情となり、示談が成立すれば不起訴などのより軽微な処分になる可能性を高める事情となります。

公然わいせつ行為をしてしまったら、弁護士へ相談を

公然わいせつ罪では、事件の具体的事情によっては身体拘束を回避できたり、被害者的立場にある人との示談などの有利な事情を作ることによって不起訴などの軽微な処分を目指すことができたりしますが、いずれにおいても弁護士の活動が不可欠です。公然わいせつ行為を行ってしまった場合、お早目に弁護士にご相談ください。

「業務妨害」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような行為が業務妨害に該当するのかはよく分からないという方が多いのではないでしょうか。このページでは、業務妨害罪がどのような場合に成立し、どのような罰則を受ける可能性があるのかなどについて解説します。

業務妨害罪とは

接見交通権とは

業務妨害罪とは、嘘や脅しなどによって人の業務を妨害することにより成立する罪です。個人だけでなく、法人や機械に向けた行為も業務妨害罪となりえます。また、業務妨害罪は非親告罪であり、被害者の被害申告が無い場合でも罪に問われる可能性があります。

業務妨害罪の罰則

業務妨害罪には偽計業務妨害と威力業務妨害がありますが、いずれの法定刑も、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違い

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪のいずれも、人の業務を妨害する行為を行う点では共通していますが、大まかにいえば、被害者に分かる形でなされた妨害については威力業務妨害、被害者に分からない形でなされた妨害は偽計業務妨害というように区別されます。

偽計業務妨害罪の構成要件

偽計業務妨害罪の構成要件は、「虚偽の風説を流布」し、または「偽計を用い」て、人の「業務を妨害」することです。

虚偽の風説の流布

「虚偽の風説を流布」するとは、客観的真実に反する事実を不特定または多数人に伝播させることをいいます。実際に不特定または多数の人に広まることが必要なものではなく、特定かつ少数の人に対してであっても話を伝えれば要件に該当します。

また、客観的真実に反する事実を広めることが問題となるのであり、広めた内容が真実である場合は、偽計業務妨害罪は成立しません。

偽計

「偽計」を用いるとは、人を欺罔・誘惑し、あるいは人の錯誤・不知を利用することをいいます。

業務を妨害

「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務をいいます。簡単にいえば、人や会社が仕事として行っている行為です。

なお、公務員の職務(公務)を妨害する行為については「公務執行妨害罪」という罪もありますが、公務のうち、強制力を行使する権力的公務(警察官による逮捕など)を妨害する場合は公務執行妨害罪、それ以外の公務(市役所で職員が行っている仕事や、警察官の仕事のうち強制力を伴わないものなど)は、業務妨害罪が保護する「業務」にあたるものとして、業務妨害罪の成否が問題となります。

威力業務妨害罪の構成要件

偽計業務妨害罪の構成要件は、「威力を用い」て人の「業務を妨害」することです。

威力

威力業務妨害罪における「威力」を用いるとは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。わかりやすくいえば人を「ビビらせる」ことですが、暴行・脅迫を用いる場合だけでなく、社会的地位を利用したり、集団的勢力を示したりする場合も含まれます。

業務を妨害

業務を妨害について詳しく見る

業務妨害罪にあたる行為の例

偽計業務妨害罪にあたる行為

偽計業務妨害罪にあたる行為の例として、被害者の知らない間に業務用の設備を壊すことや、電話やインターネットで嘘の出前の注文をすることなどが挙げられます。

威力業務妨害罪にあたる行為

威力業務妨害罪にあたる行為の例として、株主総会中に大きな声で怒鳴ることや、動物の死骸を被害者の身辺(職場の机など)に入れて被害者に発見させる行為などが挙げられます。

業務妨害罪と関連する犯罪

信用毀損罪

信用毀損罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損することにより成立する罪です。手段は偽計業務妨害罪と同じですが、業務を妨害するのではなく、人の支払能力や商品の品質などについての信用を損なうことを罰するのが本罪です。法定刑は業務妨害罪と同じく、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

信用毀損罪について詳しく見る

名誉棄損罪

名誉毀損罪は、公然と事実を適示して人の名誉を毀損することにより成立します。偽計業務妨害罪では、広めた話が真実である場合は「虚偽の風説の流布」にあたらず罪は成立しませんが、名誉毀損罪の場合、広めた話が真実であっても成立します。法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

脅迫罪

脅迫罪は、人に危害を加えることを伝えて人を脅迫することにより成立する罪です。法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

脅迫罪について詳しく見る

不退去罪

不退去罪は、人の住居や店舗などに立ち入り、出て行ってほしいと言われたにもかかわらず立ち退かない場合に成立する罪です。法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。会社や店舗の建物内に居座って業務を妨害した場合には、業務妨害罪と不退去罪の両方が成立することもあります。

ネットの書き込みで業務妨害罪に問われた場合

インターネットの書き込みという行為について偽計業務妨害罪が成立することもあります。同罪にあたるとして刑事告訴されたり、書き込みによって損害を受けたとして、民事上の損害賠償請求をされたりすることもあります。

匿名での投稿であっても、被害者からの請求により、プロバイダを通じて投稿者の情報が開示される場合があります。その際、プロバイダから投稿者のもとに「発信者情報開示に係る意見照会書」が送られてきます。つまり、そのような書類が届いたということは、書き込みをされた被害者が刑事告訴や損害賠償請求に向けて投稿者の特定などに向けた手続を進めていることを意味します。刑事告訴などをされてしまう前に弁護士に相談し、解決に向けてできるだけ早く動き出すことが望ましいでしょう。

刑事事件になった場合の対処法

業務妨害罪で逮捕された場合、そのまま勾留されてしまうことが多く、身体拘束からの早期解放を目指す場合、弁護士による働きが必須です。起訴・不起訴の決定などの処分に向けてなすべきこととしては、弁護士の指導・アドバイスのもと反省文を作成して十分に反省していることを示したり、弁護士を通じて被害者との示談を成立させたりして、不起訴の可能性を高める事情を作ることが挙げられます。

逮捕後の流れについて詳しく見る

業務妨害罪に問われたら、弁護士に相談を

業務妨害罪の法定刑はなかなかに重く、有罪となれば、実刑もありえます。また、人や会社の仕事を妨害することから、それによって生じた損害の賠償請求をなされることも少なくありません。

刑事事件、民事上の責任追及(損害賠償請求)のいずれについても、早期に弁護士に依頼して被害者との示談交渉を含む対応を進めていくことが重要です。業務妨害罪に問われたら、お早目に弁護士にご相談ください。

ここでは、脅迫罪・恐喝罪・強要罪の違いや、それぞれの刑罰についてご説明いたします。

脅迫・恐喝・強要罪の刑罰

脅迫罪の刑罰

脅迫罪を犯した者は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」(刑法222条)と定められています。

恐喝罪の刑罰

恐喝罪を犯した者は、「10年以下の懲役に処する」(刑法249条1項)と定められており、脅迫罪に比べて重い処罰を設けています。

強要罪の刑罰

強要罪を犯した者は、「3年以下の懲役に処する」(223条1項)と定められており、罰金刑が設けられていないことに特徴があります。

脅迫・恐喝・強要罪の違い

脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害悪の告知をした場合に成立する犯罪であるのに対して、強要罪は、暴行又は脅迫により人に義務のないことを行わせなければ強要罪は成立しません。

他方、恐喝罪は、暴行又は脅迫により財物を交付させなければ恐喝罪は成立しないため、それぞれの犯罪は似ているようで、全く異なります。

脅迫罪について

脅迫罪は、生命・身体・自由・名誉・財産に対して、危害を加えることを伝えたことに対して成立する犯罪です。例えば、「殺す。」、「痛い目に遭わせる」という言動は、その人に危害を加えることを伝える言動といえますので、脅迫罪が成立することになります。

なお、脅迫罪についての未遂は刑法上規定されていないことから、脅迫未遂罪は存在しません。害を加える旨を告知する前であれば、脅迫罪は未成立となります。

脅迫罪の時効

刑事事件における時効とは、公訴時効といい、公訴時効を過ぎると検察官が公訴を提起することができなくなります。

恐喝罪の公訴時効は、3年とされています(刑事訴訟法250条)。

もっとも、刑事事件としての時効が成立した場合でも、民事事件としての時効が完成しておらず損害賠償を請求される場合もあるので注意が必要です。

害悪の告知

「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。

人を畏怖させるに足りる害悪の告知があったかどうかは、相手方の年齢、性別、職業などの相手方の事情や加害者と相手方との人間関係等具体的な諸事情を考慮して、客観的に判断されます。例えば、口頭での発言や文書、電話、メール、SNS、殴るそぶりの態度などの方法でも内容次第では脅迫罪が成立する可能性があります。

脅迫の対象

害を加える旨を告知する対象となるのは、相手本人のみならず、その親族も含まれます。

他方、相手本人と親しい人、例えば恋人や友人に対して害悪の告知をしたとしても、原則として脅迫罪は成立しません。

恐喝罪について

恐喝罪は、人に恐怖心を生じさせ、意思決定や行動の自由を制圧することにより、財物を交付させ、又は財産上の利益を処分させる犯罪です。恐喝罪の典型例は、高校生が中学生に対して、「金を出せ。出さなかったら殴るぞ。」と脅し、中学生が恐怖心から高校生に1万円を渡すというカツアゲです。

恐喝罪は、恐喝行為を行ったものの、財物の交付を受けなかった場合、すなわち、恐喝未遂罪も処罰されることに注意が必要です。

恐喝罪の時効

刑事事件における時効とは、公訴時効といい、公訴時効を過ぎると検察官が公訴を提起することができなくなります。

恐喝罪の公訴時効は、7年とされています(刑事訴訟法250条)。

もっとも、刑事事件としての時効が成立した場合でも、民事事件としての時効が完成しておらず損害賠償を請求される場合もあるので注意が必要です。

親族間の場合の特例

恐喝罪には、親族相盗例という例外が規定されています(刑法251条、244条)。親族相盗例とは、親族間の犯罪については、刑が免除されるという例外です。

親族相盗例は、配偶者、直系血族又は同居の親族の間で恐喝罪を犯した場合に適用されます。なお、親族とは、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族のことをいいます(民法725条等)。

「配偶者、直系血族又は同居の親族」以外の親族との間の恐喝罪については、親告罪であるため、被害者が告訴をした場合のみ処罰の対象となります。

権利の行使と恐喝罪

相手方にお金を貸している人が、「金返せ。痛い目にあいたいのか。」を申しつけ、金銭の返還を受けた場合など、自己の権利を実現するために恐喝的手段を用いた場合、恐喝罪が成立するのでしょうか。判例は、「社会通念上一般的に認容すべきものと認められる程度を逸脱した」場合には恐喝罪が成立するとしています。

「社会通念上一般的に認容すべきもの」かどうかは、①権利の行使という正当な目的があったか、②権利の範囲内か、③手段が社会的相当性の範囲内かという観点から判断されます。

強要罪について

強要罪は、相手方やその親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害悪を加える旨を告知し、又は本人に暴行を加えることで、相手方に義務のないことを行わせ、又は見地の行使を妨げた場合に成立する犯罪です。例えば、相手方に対して、「土下座しないと殴るぞ。」等と申しつけ、土下座をさせる行為等が強要罪に該当します。

強要罪は、相手方にある行為を強要したものの、相手方が行わなかった場合、すなわち、強要未遂罪も処罰されることに注意が必要です。

強要罪の時効

刑事事件における時効とは、公訴時効といい、公訴時効を過ぎると検察官が公訴を提起することができなくなります。

強要罪の公訴時効は、3年とされています(刑事訴訟法250条)。

もっとも、刑事事件としての時効が成立した場合でも、民事事件としての時効が完成しておらず損害賠償を請求される場合もあるので注意が必要です。

関連する犯罪

強盗罪

強盗罪は、相手方に暴力を振るったり、脅したりする等、暴行又は脅迫を用いて、相手方の財物を無理矢理に奪った場合に成立する犯罪です。

恐喝罪との違いは、暴行又は脅迫の程度の大きさにあります。強盗罪における暴行又は脅迫は、「犯行を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使又は害悪の告知」であるのに対し、恐喝罪における暴行又は脅迫は、「犯行を抑圧するに至らない程度の不法な有形力の行使又は害悪の告知」であります。強盗罪が成立しなかった場合に無罪となるのではなく、恐喝罪が成立する可能性はあります。

名誉毀損罪

名誉棄損罪は、不特定又は多数の人が認識できるように人の社会的評価を傷つけるような具体的な事実を示すことにより、社会がその人に対して与える評価、社会的な評判、名声等を傷つけることにより成立する犯罪です。

威力業務妨害罪

威力業務妨害罪は、人の意思を抑圧するに足りる勢力を示すことにより業務を妨害することによって成立する犯罪です。業務とは、職業その他の社会生活上の地位に基づいて継続して従事する事務のことをいいます。

人質による強要行為罪

テレビドラマなどで、ある人を人質にとった上で、「返してほしいのであれば、金を持ってこい」等と言っている場面を見たことがあると思います。このような行為を行った場合、「人質による強要行為等の処罰に関する法律」により処罰を受けます。刑罰は「6月以上10年以下の懲役」に処せられ、未遂も処罰されるため、注意が必要です。

脅迫・恐喝・強要罪で逮捕される場合

逮捕後の流れについて詳しく見る

脅迫・恐喝・強要罪は親告罪ではありませんが、捜査機関が脅迫・恐喝・強要行為を発見し、現行犯逮捕するというケースはほとんどありません。

したがって、脅迫・恐喝・強要罪で逮捕されるのは、ほとんどの場合、被害者が被害届を提出された場合といえます。

脅迫・恐喝・強要を行ってしまった際の対応

脅迫・恐喝・強要を行ってしまった場合、まず、被害者に対して謝罪することが重要です。謝罪することによって被害者との間で示談の可能性を高めるからです。被害者との間で示談が成立すると、不起訴処分の可能性を高めることができます。 脅迫・恐喝・強要を行ったことにより逮捕されてしまった場合には、早期の段階で弁護士へ相談することをお勧めします。脅迫・恐喝・強要を行ってしまった場合、被害者が感情的になっていることが多く、弁護士を通した上での話合いが効果的となるからです。

そして、弁護士に依頼し、被害者との示談を成立させることにより、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。

脅迫・恐喝・強要の罪に問われた場合は弁護士へ相談を

脅迫・恐喝・強要行為については、逮捕段階であれば勾留阻止に向けた弁護活動、勾留されてしまった場合には不起訴処分に向けた弁護活動を行います。

脅迫・恐喝・強要行為により逮捕されてしまった場合、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴処分を獲得する可能性が高くなります。脅迫・恐喝・強要罪の場合、被害者が感情的になっていることが少なくありませんが、弁護士に交渉してもらうことで、被害者との話合いが進む可能性があります。

数多くの脅迫・恐喝・強要事件の刑事弁護を扱った弊所であれば、少しでもご依頼者様の力になれると思います。

迅速に行動するとともに、事件の問題点を適切に把握し、最善の弁護活動を行います。

まずはお気軽にご相談ください。

このページでは、どのような行為が強制性交等罪にあたるかやその刑罰、逮捕後の対応等について解説します。

強制性交等罪とは

強制性交等罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」といいます。)をすること、13歳未満の者に対し(暴行・脅迫の有無に関わらず)性交等をすることにより成立します(刑法177条)。

行為が未遂であっても処罰されます(刑法180条)。また、被害者に怪我を負わせたり死亡させたりした場合は強制性交等致死傷罪(刑法181条2項)となり、裁判員裁判対象事件となります。

刑法改正による変更点

強制性交等罪はかつて「強姦罪」として規定され、男性からの女性に対する強制的な性交のみが対象とされていましたが、平成29年の法改正により、性交だけでなく肛門性交と口腔性交も対象とし、男性も被害者となる点が変わりました。

また、それまで親告罪であったものが非親告罪となるとともに、法定刑も3年以上の有期懲役から5年以上の有期懲役へと変更され、より重くなりました。

強制性交等罪の構成要件

「性交等」の行為

すでに述べたように、強制性交等罪の「性交等」とは、性交、肛門性交又は口腔性交をいいます。

暴行または脅迫を用いて性交等をする

13歳以上の者に対する性交等の行為については、暴行又は脅迫を用いることが罪の成立の要件となります。ここでいう「暴行又は脅迫」は、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものであることを要します。

また、13歳未満の者に対しては、暴行又は脅迫を用いた場合だけでなく、それらを用いず、たとえ本人の同意があった場合にも、性交等を行えば本罪が成立します。

故意

強制性交等罪は故意犯であり、相手方の意思に反して性交等を行うことについての故意が必要とされます。そのため、行為者において被害者の同意があると認識していた場合には罪が成立しない可能性がありますが、行為者が本当にそのように認識していたか否かについては、犯行時の状況等のさまざまな事実・証拠から判断されることになります。

また、13歳未満の者に対しては同意の有無にかかわらず本罪が成立するため、故意の点では13歳未満だと認識していたか否かが問題となります。

強制性交等罪の罰則

強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役です(刑法177条)。前に述べたように、平成29年の法改正により、それまでの強姦罪の3年以上の有期懲役から厳罰化されました。

執行猶予の可否

5年以上の有期懲役への変更により、強制性交等罪について執行猶予がつくことは少なくなりました。

執行猶予は、3年以下の懲役又は禁錮を言い渡された時に付される可能性があります(刑法25条1項)。法定刑が5年以上である強制性交等罪については、特に事情が無ければ執行猶予がつくことはありませんが、減軽事由(心神耗弱や情状酌量など)があって言い渡される刑が3年以下になれば、執行猶予がつく可能性があります。

強制性交等罪の時効

強制性交等罪の刑事事件としての時効(公訴時効)は10年です。

また、強制性交等の行為により被害者が受けた損害の損害賠償請求(民事事件)の時効は、被害者が損害と加害者を知ってから3年か、行為から20年です。

準強制性交等罪との違い

準強制性交等罪は、被害者の心神喪失や抗拒不能、つまり気絶していたり酩酊していたりして抵抗できない状態のときに(加害者が被害者をそのような状態にさせる場合も含みます。)性交等を行うことにより成立します。強制性交等罪と異なり暴行・脅迫はないが被害者の意に反して行われる行為を同様に処罰するもので、法定刑は強制性交等罪と同じです。

逮捕後の流れ

強制性交等罪の被疑者として捜査される場合、同罪の法定刑の重さや、被害者への働きかけによる証拠隠滅等の可能性があることなどから、逃亡や証拠隠滅のおそれが高いとして逮捕・勾留される可能性が高いです。逮捕・勾留されると刑事施設に拘束されて取調べを受け、起訴されれば刑事裁判を受けることになります。

逮捕後の流れについて詳しく見る

逮捕後の対応

弁護士は、身体拘束からの解放に向けた活動を行うことができます。逮捕後、勾留される前であれば、勾留請求の却下を求め、勾留後であっても、準抗告を行うことにより勾留決定が取り消される可能性があります。

また、刑事事件の処分(起訴・不起訴の決定、起訴された場合の判決)に向けた対応として、強制性交等の事実を認める場合は、被害者との示談を行ったり、本人が性衝動のコントロールについて専門家の治療などを受け再犯防止に向け努力したりしていることなどを有利な事情として主張します。一方、同意があった場合にはその旨の主張をして、強制的な性交等であったことを争うこととなります。

強制性交等罪に問われたら、弁護士へ相談を

強制性交等罪は重い罪です。事件の内容もセンシティブであり、被害者との関係でも慎重な対応が必要となります。できるだけ早い段階で弁護士が介入することがよりよい結果をもたらしすことになりますので、お早目にご相談ください。

ここでは、過失運転致死傷罪がどのような犯罪か、逮捕後の対処法についてご説明いたします。

過失運転致死傷罪とは

自動車運転死傷処罰法

かつては刑法第211条に「自動車運転過失致死傷罪」として規定されていました。しかし、依然として、飲酒運転や無免許運転等悪質・危険な運転行為が減少しなかったことを受け、平成25年から「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下では「自動車運転死傷処罰法」といいます)」が制定され、厳罰化されました。

過失運転致死傷罪の罰則

過失運転致死傷罪は、7年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになり(自動車運転死傷処罰法5条)、重い刑罰を設けています。

無免許運転による加重

無免許運転を行い、過失運転致死傷罪を犯してしまった場合には、10年以下の懲役に処せられることになり、通常の過失運転致死傷罪に比べて加重されています。

飲酒運転との併合罪

アルコールを摂取した状態で、自動車等を運転し、事故により人を死傷させてしまった場合、飲酒運転と自動車運転過失致死傷罪の併合罪が成立することになります。

この場合、一般的に懲役刑が選択され、10年6月以下の懲役に処せられます。

危険運転致死傷罪との違い

過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合に成立する犯罪であるのに対して、危険運転致死傷罪は、単なる不注意ではなく、赤信号を殊更に無視する行為、正常な運転ができないほど飲酒した状態で運転する等、故意により危険な運転を行い、人を死傷させた場合に成立する犯罪です。

したがって、危険運転致死傷罪は、過失運転致死傷罪に比べて重い刑罰が規定されています。

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪は、アルコール又は薬物の影響により走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車等を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、人を死傷させたにもかかわらず、アルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、逃亡する等した場合に成立する犯罪です。

逮捕後の流れ

逮捕後の流れについて詳しく見る

過失運転致死傷罪の容疑で逮捕された場合、被疑者は勾留されずに、在宅捜査が行われることが多いです。なぜなら、逮捕段階において、捜査機関が十分な客観的証拠を確保していることも多く、被疑者が被害者に対する働きかけも考えにくいと判断されるからです。

逮捕されたものの、勾留されることなく釈放された場合、在宅事件となり、普段通りの生活を送ることができます。もっとも、捜査機関からの出頭要請には応じなければならず、捜査は継続されることになります。その後、捜査機関が捜査を行い、検察官が起訴・不起訴処分を決定することになります。

逮捕後の対処法れ

無罪を主張する場合

自動車の運転上必要な注意をしていたにもかかわらず、捜査機関に逮捕されてしまった場合には、早く釈放されたいがために、自動車の運転上必要な注意を怠っていた等と自白しないようにしてください。

弁護士に相談し、ご自身が運転上必要な注意をしていた、すなわち、過失がなかったという点を主張・立証をすることにより、無罪の主張をしていかなければなりません。

事実関係に争いがない場合無罪を主張する場合

事実関係に争いがない場合には、ご遺族に対して真摯に謝罪をし、誠意をもって対応することが不可欠となります。ご遺族との間で示談をすることができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が上がります。

また、ご自身が任意保険に加入している場合には、加入している保険会社に連絡し、必要な手続きを行うことも重要となります。

交通事故で死傷させてしまった場合は、弁護士に相談を

現代社会において、自動車は不可欠な存在となっています。その反面、交通事故は、ちょっとした不注意により起こってしまい、その結果、簡単に人を死傷させ、事件の当事者になってしまうのです。

必要な注意をしていたにもかかわらず、事故を起こしてしまい逮捕されてしまうケースも少なくありません。

数多くの過失運転致死傷事件の刑事弁護を扱った弊所であれば、少しでもご依頼者様の力になれると思います。

迅速に行動するとともに、事件の問題点を適切に把握し、最善の弁護活動を行います。

まずはお気軽にご相談ください。

ある人物が特定の犯罪事実に関与しているとの疑いがあり、自宅に犯罪の証拠があると目される場合、警察などの捜査機関による自宅の捜索(家宅捜索)を受けることがあります。

このページでは、家宅捜索がなされるきっかけや条件、タイミング、捜索後の対応などについて解説します。

家宅捜索とは

家宅捜索とは、警察などの捜査機関が犯罪の証拠を入手するため、被疑者の自宅等(場合によっては個人宅だけでなく、会社のオフィスなども含まれます。)を捜す捜査をいいます。

その目的は、特定の犯罪事実に深く関与していると思われる人物の自宅等にはその犯罪の証拠が存在する可能性が高いことから、その証拠を捜し、押収することにあります。

家宅捜索は拒否できない

家宅捜索は強制処分、つまり捜査機関が対象者の意思に関わらず強制的に行う捜査として認められているため、たとえ対象者が自宅へ立ち入られたくない、自分の物を押収されたくないなどと思っても、拒否することはできません。

家宅捜索の条件

家宅捜索は、裁判所の発付する許可状(捜索差押許可状)に基づいて行われます。

逮捕状により逮捕される場合にその逮捕が問題ないかを裁判所が事前に審査するのと同様に、捜索差押許可状が出されるにあたっては、その住居等に犯罪の証拠が存在する可能性があるのかを含め、そこで捜索・差押えを行うことについて問題ないか、事前に裁判所によって審査されます。

警察の捜査が始まるきっかけ

被害届が提出された

警察による捜査が始まるきっかけとして、犯罪の被害者が警察に被害届を提出したり、刑事告訴したりすることで、警察が犯罪事実を知ることになる場合があります。

また、被害者や目撃者などに通報されることで、警察が犯罪事実を知ることになる場合や、犯罪に関わっているのではないかと疑われる人が警察に職務質問を受け、その中で警察が犯罪事実を知ることになる場合があります。

家宅捜索のタイミング

捜査機関が家宅捜査を行える時期について、法律上は特に制限されておらず、起訴される前・起訴された後のいずれにおいても捜索をすることができるとされていますが、通常、事件の捜査は起訴前に完了するため、実際に家宅捜査が行われるのは、警察が犯罪事実を知ってから、起訴されるまでの間になります。

証拠隠滅を防ぐため、家宅捜査は通常、対象者への予告なしに突然行われます。

家宅捜索の対象

家宅捜索にあたっては、不当な捜索を防止するため、家宅捜索の対象について裁判所が事前に審査し、捜索できる範囲や差し押さえることのできるものの範囲が記載された捜索差押許可状が発付されます。許可状に書かれていない(裁判所が許可した範囲を超える)捜索・差押えについては、強制処分として行うことを裁判所が認めていないわけですから、行うことはできません。

捜索差押許可状の内容の確認

捜索差押許可状(令状)には裁判所に認められた捜索・差押えの範囲が記載されており、捜索の開始前にその内容が読み上げられることになっています。

令状の読み上げを聞いたり(録音すれば、不当な捜索が行われた場合の証拠とすることができます)、令状を見せてもらったりして、必ず令状の内容を確認しましょう。また、捜索開始後は、令状に書かれていない範囲まで捜索・差押えされていないか、警察の動きをしっかり確認しなければなりません。

差し押さえられたものの返却について

証拠品として差し押さえられたもののうち、すでに警察や検察が精査し、証拠として置いておく必要が無くなったものについては、事件が終了する前であっても、返還されます。

家宅捜索されることが多い犯罪

覚醒剤取締法違反や大麻取締法違反などの薬物事件は、被疑者の自宅に薬物や器具などの証拠品が存在することが多いため、家宅捜索が行われることが多くなっています。

また、窃盗や児童ポルノなどについても、同じく被疑者の自宅に犯罪で得た物や犯罪で使用された物が存在する可能性が高いため、家宅捜索を受けることが多い事件類型といえます。

窃盗について詳しく見る 児童ポルノについて詳しく見る

家宅捜索に弁護士の立ち会いは可能か

家宅捜索では、その住居の住人やその同居人、会社であれば代表者か従業員などが家宅捜索に立ち会わなければなりません。

弁護士の立会いについて、弁護士が被疑者の弁護人として立ち会うことは法律上認められていませんが、その住居の住人あるいは会社代表者に指名された、いわば家宅捜索の立会いについての代理人として家宅捜索に立ち会うことは認められています。

家宅捜索での対応と弁護士ができること

家宅捜索では、令状の記載に反して事件に関係のないものまで押収されてしまうこともあり、違法な捜査はなかったかチェックし、もし違法な捜査があれば、その旨を主張する必要があります。

また、家宅捜索の結果、犯罪の嫌疑が高まったとして、逮捕されてしまうことは少なくありません。このような場合、家宅捜索によって必要な証拠が収集されたことで証拠隠滅のおそれが無くなり、ひいては逮捕の必要性も無いなどの主張を行うことで、逮捕・勾留を避けられる可能性があります。

家宅捜索を受けてしまった場合、早期に弁護士が介入すれば、上記のような弁護活動を行い、不当な家宅捜索や逮捕などについて争うことができます。

家宅捜査を受けた場合は、早期に弁護士へ相談を

家宅捜索を受けた場合、その内容に問題(違法性)が無いかどうかは専門家でなければ判断しがたいですし、家宅捜査に続いて逮捕されてしまう場合もあります。早期に弁護士に相談することで、不当な家宅捜査や逮捕・勾留について争うことができます。家宅捜索を受けた場合は、ぜひ早期に弁護士にご相談ください。

迷惑防止条例違反 6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金(東京都の場合)
迷惑防止条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例等を言われている条例で、各都道府県に制定されているものです

今回は、兵庫県に制定されている迷惑防止条例についてご説明いたします。

迷惑防止条例とは

兵庫県の迷惑防止条例の目的は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって県民生活の安全と秩序を維持すること」にあります。迷惑防止条例は親告罪ではないため、被害者による被害届がなくても、捜査機関は捜査をすることが可能です。

刑罰について

迷惑防止条例に違反した場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。そして、違反行為が常習的であると認められた場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになります。

時効について

公訴時効とは、一定期間経過した場合に検察官が訴追することができなくなる期間のことをいいます。迷惑防止条例違反における公訴時効は、犯罪行為時から3年です。したがって、迷惑防止条例違反行為を行ってから3年経過した場合には、起訴されることはなくなります。

迷惑防止条例と強制わいせつ

迷惑防止条例において禁止されている「痴漢」行為は、行為態様によっては、強制わいせつ罪(刑法176条)に問われる可能性があります。

強制わいせつ罪は、「13歳以上の者」に対して、「暴行又は強迫」を用いてわいせつ行為を行った者に成立します。また、強制わいせつ罪における「暴行又は強迫」の程度は、抵抗が著しく困難になる程度で足りると考えられています。

したがって、痴漢行為を行った際、被害者に対して、抵抗を著しく困難にさせたかどうかが、迷惑防止条例における「痴漢」か「強制わいせつ罪」の違いになります。

迷惑防止条例違反となる主な犯罪

迷惑防止条例では様々な行為が禁止されており、ここでは禁止されている行為についてご説明いたします。

痴漢

痴漢行為とは、例えば、衣服や下着の上から、もしくは直接身体に触れる行為、自分の身体や股間部分を執拗に押し付けたりする行為のことをいいます。

痴漢について詳しく見る

盗撮

盗撮行為とは、人が通常衣服で隠されている身体又は下着をカメラ等で撮影する行為、撮影する目的でカメラ等を向ける行為、撮影する目的でカメラ等を設置する行為のことをいいます。

また、浴場等人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人をカメラ等で撮影する行為、撮影する目的でカメラ等を向ける行為、撮影する目的でカメラ等を設置する行為も含まれます。

盗撮について詳しく見る

つきまとい

つきまとい行為とは、正当な理由がないにもかかわらず、つきまとい・待ち伏せ等をする行為のみならず、監視していると思わせるようなことを告げる行為、面会を要求する行為、著しく乱暴な言動をする行為、何度も無言電話をしたり嫌がらせメール等を送る行為、汚物等を送りつける行為、名誉を棄損する行為、性的羞恥心を害する行為等も含まれており、処罰対象は広いといえます。

その他

その他、迷惑防止条例は、不当な客引行為、だふや行為、押売行為、不当な景品買行為、モーターボート等を危険に運転する行為、公共の乗物等で粗暴な方法により座席を占拠する行為、迷惑ビラを配布する行為等を禁止しています。

迷惑防止条例違反で逮捕されたら

迷惑防止条例違反として逮捕された場合、48時間以内に検察へ事件が送致されます。

送致を受けた検察は24時間以内に対象者を勾留するかどうかを決定します。勾留されなければそのまま釈放となりますが、勾留された場合には、最大20日間捜査を行い、起訴するかどうかを決定することになります。

逮捕後の流れについて詳しく見る

被害者の証言が有利になりがち

迷惑防止条例違反の場合、被害者とされる者の意見が重視される傾向にあります。捜査機関が被害者の意見を重視して、逮捕されるケースも少なくありません。

どのような対応をすべきか

迷惑防止条例違反行為を行っていないにもかかわらず、逮捕されてしまった場合、どのような対応をするべきでしょうか。絶対してはいけないことは、やってもいない行為について認めてはいけません。一度認めてしまったら、後々取り返しのつかないことになりかねないからです。

そして、早期の段階で弁護士に依頼するようにしましょう。早期段階であれば、迷惑防止条例違反をしていない証拠を見つけ出すことができるかもしれません。

迷惑防止条例違反の判例

ここで、迷惑防止条例違反(痴漢行為及び盗撮行為)の罪に問われ、無罪となった裁判例をご紹介いたします。

痴漢のケース

満員の電車内で女性の臀部を下着の上から触り、迷惑防止条例違反の罪に問われた事案をご紹介いたします。

当該事案の証拠は、被害者の証言しかありませんでした。被害者は右肩にスクールバッグを掛け、左手にクリアケースを持っていました。電車の走行中、犯人が手のひらで被害者の右臀部を触り始めましたが、被害者はずっと我慢していたようです。しばらく経っても、犯人の痴漢行為が止まなかったため、被害者は右手で犯人の右手首を掴み、右肩越しに後ろを振り向くと被告人を確認しました。その際、被告人は何ら反応をしませんでした。被害者はその後も犯人の右手首を掴んでいましたが、駅に着く直前にその手を振りほどかれたため、被害者はすぐに右手で被告人の左腕を組み、そのまま駅員に通報しました。

その後の公判において、被害者はスクールバッグを右肩に掛けたまま犯人の右手を掴んだと供述したにもかかわらず、補充尋問において、犯人の右手を掴む際、スクールバッグが邪魔にならなかったのかという質問に対して、被害者はスクールバッグを右肩から左手に持ち替えたと供述を変えてしまいました。

被害者はその他にも供述を変えてしまった部分があり、裁判官は被害者の供述の変更を考慮し、判決では被告人を犯人と断定することができないと判断し、被告人は無罪となりました。

盗撮のケース

店舗内で女性のワンピース内の下着を撮影する目的で、背後から動画撮影機能を起動させた携帯電話機を差し入れ、迷惑防止条例違反の罪に問われた事案をご紹介いたします。

被告人は、捜査段階で自らの犯行であることを自白していました。自白の内容は、①被害者の背後から近づき、携帯電話を取り出しカメラを起動し、女性のスカート内に約5秒間差し入れたこと、そのときの体制は、立った状態で90度くらい角度をつけるようにして上半身を前かがみにしながら、携帯電話を持った手を伸ばして差し入れたこと、その後スカート内から手を引っ込め、動画の停止ボタンを押したこと、②被告人は、1回目の撮影で女性のパンツが撮影できていないかもしれないと思い、チャンスを伺い、数分後に同じ女性のスカート内に約5秒間差し入れたこと、その後手を引っ込めながら動画停止ボタンを押した際、相手の女性が顔だけ私の方を振り向いてきたという内容です。

公判において、裁判官は、⑴立った状態で90度くらい角度をつけるようにして上半身を前かがみにしながら、携帯電話を持った手を伸ばして差し入れるという行為は、あまりにも露骨すぎる上、不特定多数の者が出入りするような場においては、周囲の人から不審に思われる体勢であり、不自然であること、⑵被告人の自白によれば、上記のような体勢で2度にわたって撮影したということになるが、混雑していたと窺われない店内において、被害者はこのような行動をする人物に気が付く可能性が高いと思われるが、被害者は2回目の携帯電話機械音に気づくまで、一切犯行に気づいていないことは不自然であること、⑶被害者が気づいた後の被告人の行動について、被害者の供述と被告人の自白とは整合しないこと、⑷被告人が自白した内容であれば撮影されているであろう動画と、実際被告人の携帯電話機内に撮影されていた動画の内容が一致しないこと等から、被告人の自白の信用性はないと判断し、本件では被告人が犯罪を行ったとする証明がされていないとして無罪を言い渡しました。

迷惑防止条例違反でよくある質問

カーテンが開いており隣家の住人が下着姿でいるところを覗いてしまいました。

迷惑防止条例における対象行為は、「公共の場所又は公共の乗物」であるため、今回のケースでは迷惑防止条例違反にはあたりません。もっとも、軽犯罪法1条23号ののぞき行為に該当する可能性があります。

軽犯罪法の「のぞき行為」とは、正当な理由なく人の住居等人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見ることをいいます。本件において、カーテンが開いており、たまたま見てしまったという場合であれば、軽犯罪法の「のぞき行為」に当たらない可能性があります。

電車内でつり革を掴もうとしたところ誤って女性の胸に手が当たってしまいました。

迷惑防止条例における痴漢行為が成立するためには、痴漢行為をしようとする故意が必要です。今回のケースで、故意に女性の胸を触ろうとしていたわけではなく、誤って手が当たってしまった場合には、痴漢行為における故意はなく、迷惑防止条例違反となりません。

しかし、胸を触られた女性が痴漢されたとして主張し、逮捕されてしまう可能性もあります。そのような場合であっても、故意に触ったとして罪を認めてしまわないようにして下さい。

旦那の浮気相手に何度も電話をしましたが迷惑防止条例に違反するのでしょうか。

今回のケースでは、迷惑防止条例にいう「嫌がらせ行為」に該当する可能性があります。

ただ、浮気相手に電話をして慰謝料請求等をするのであれば「正当な理由」として、迷惑防止条例違反とならない可能性があります。しかし、浮気相手に嫌がらせをしようとする目的で何度も電話をしていると、迷惑防止条例違反となる可能性があるので注意が必要です。

迷惑防止条例違反になるか不安であれば、弁護士に依頼し、浮気相手に対して不貞慰謝料請求をすることをお勧めします。

迷惑防止条例違反を犯した場合、すぐに弁護士へご相談下さい。

迷惑防止条例違反については、逮捕段階であれば勾留阻止に向けた弁護活動、勾留されてしまった場合には不起訴処分に向けた弁護活動を行います。

迷惑防止条例違反により逮捕されてしまった場合、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴処分を獲得する可能性が高くなります。

他方、弊所では再犯防止に向けた活動に力を入れており、ご依頼者様の将来にも貢献できると存じます。

数多くの迷惑防止条例違反事件の刑事弁護を扱った弊所であれば、少しでもご依頼者様の力になれると思います。

迅速に行動するとともに、事件の問題点を適切に把握し、最善の弁護活動を行います。

「暴行罪」が成立するのは、人を殴ったり蹴ったりした場合に限りません。本項では、どのような行為が暴行罪にあたるかや、暴行罪で逮捕されてしまった場合の対処法について解説します。

暴行罪とは

暴行罪とは、人に暴行を加えたが傷害が生じなかった場合に成立する罪で、人の身体の安全を保護法益とします。傷害が生じなかった、という点だけ見ると傷害罪などに比べ軽い罪かのように思われるかもしれません。しかし、暴行罪は親告罪ではないため、被害者からの告訴(被害申告と犯人の処罰を望む申し出)が無くとも起訴される可能性があります。このことからも分かるように、決して軽い罪ではありません。

暴行罪の刑罰

暴行罪の刑罰は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」(刑法208条)です。もっとも、このうち拘留や科料が科されることはほとんどなく、懲役刑か罰金刑となることが大半です。

暴行罪の時効

暴行罪の時効は3年です。ここでいう時効とは公訴時効、すなわち刑事事件として起訴するにあたっての期限です。

なお、暴行の被害者への損害賠償は民事の問題となりますが、その時効(被害者からの損害賠償請求の時効)は、暴行による損害と加害者を知った時から3年か、事件から20年です。

暴行罪にあたる行為

 暴行罪における「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」をいいます。人の身体の安全を保護するという暴行罪の趣旨からして、ここにいう「有形力の行使」とは、殴る、蹴るなどの行為に限られるものではありません。

直接的に身体に触れる行為 典型的な暴力行為

 殴る、蹴る、突き飛ばす、絞めるなど、「暴行」と聞いて一般的に想起される、相手を痛がらせたり、相手の身体へ大きな衝撃を与えたりするような接触は、「暴行」にあたります。

典型的な暴力行為以外の行為

 「暴行」は人の身体に向けられたものであることを要しますが、暴行罪が人の身体の安全を保護するために定められているという趣旨から、被害者の身体に触れることが必要というわけではなく、被害者の身体に向けて石を投げたが当たらなったという場合も暴行罪に該当します。

また同様に、殴る、蹴るなどの被害者の体への衝撃を伴う接触に限らず、人に向けて唾液や水などの液体、塩や砂などをかける行為や、大音量や熱、電気などの刺激を与えることも人の身体の安全を害するものとして「暴行」にあたる場合があります。

暴行罪にあたらない場合

 人を侮辱したり傷付けたりする言葉を発することは、人を精神的に傷付けるような行為ではあるものの、人の身体の安全を害するような「有形力の行使」ではなく、「暴行」にあたりません。

また、人を(違法な目的でなく)呼び止めるために後ろから肩を叩くというような行為は、「有形力の行使」ではありますが、「不法な」ものではなく人の身体の安全を害するものでもないため、「暴行」にあたりません。また、たとえば人の物を壊すといった行為も、「人の身体に対する」という要件にあてはまらず、人の身体の安全を害さないため、「暴行」にあたりません。

傷害罪との違い

「暴行」によって人の身体に傷害が生じた場合、暴行罪ではなく傷害罪が成立します。たとえ傷害の故意、つまり相手に怪我をさせる故意が無かった場合にも、暴行の故意があり、その暴行により傷害が生じれば、傷害罪が成立します。

また、暴行により傷害にとどまらず人を死亡させてしまった場合には、傷害致死罪が成立します。

傷害罪について詳しく見る

傷害致死罪

暴行の故意をもって行った暴行により、人に傷害の結果が生じたにとどまらず、その傷害の結果を原因として、死亡の結果まで生じてしまった場合は、傷害致死罪が成立します。

暴行の故意があれば傷害の故意がなくとも傷害罪が成立するのと同じく、たとえ人を死亡させることについて故意がなくとも、暴行により人に傷害が生じて死亡したのであれば、傷害致死罪が成立します。

酒に酔っていた場合も罪になるか?

 酒に酔っている時にカッとなり、人を殴る、水や酒をかけるなどの暴行に出てしまった場合、暴行時の酩酊の度合いがひどく責任能力を問える状態ではなかったため不可罰(罪にはなるが罰せられない)、あるいは減軽(刑罰が軽くなる)とされるケースもありますが、違法なことを違法だと認識できない、または自分を制御することができないという状態まで酔っぱらっている時に限られます。

多くの場合、少なからず酔っていたとしても暴行罪は成立し、刑が軽くなることはありませんので、お酒を飲む際には気を付けてください。

暴行罪で逮捕されたときの対処法

暴行罪で逮捕されてしまった場合、人に暴行を加えてしまったことについて深く反省していることを捜査機関(警察、検察)や被害者に対して示した上、可能であれば被害者と示談することが重要です。被害者との示談の成否は刑事事件の処分結果に大きく関わってくるため、示談成立により不起訴を含む処分の軽減の可能性が高くなりますし、示談が成立すれば後々民事で損害賠償請求されるおそれも無くなります。

被害者に対しては、謝罪と反省の意を伝えた上、可能であれば被害弁償を含む示談をしたい旨を伝え、示談交渉をしていくことになります。暴行の加害者とは話したくないという被害者も、弁護士を通じてであれば謝罪や示談についての連絡に応じる場合が多く、その場合、弁護士を通じて謝罪と示談交渉を行い、慰謝料(示談金)や謝罪文を渡したり、示談書を取り交わしたりすることになります。

暴行事件で逮捕されてしまったら弁護士へご相談ください!

暴行事件で逮捕されてしまった場合、接見を通じての取調べへの対応のアドバイスや身体拘束からの解放、被害者との示談交渉など、弁護士が大きな力になれることは多々あります。

特に暴行事件において対処すべきことの中で大きなウェイトを占める被害者との示談については、当事者間ではうまくいかないことが多く、弁護士の関与は必須ともいえます。ぜひ弁護士へご相談ください。

警察から任意同行を求められたら、応じなければならないのかという疑問を持っている方も多いかと思います。今回は、任意同行について説明させていただき、警察から任意同行を求められた際にどのように対処すればいいかをご説明いたします。

任意同行とは?

任意同行とは、警察等の捜査機関が、犯罪の疑いがある人に対して、取り調べることを目的として、強制ではなく任意で警察署に出頭させることをいいます。

任意同行の種類

任意同行には2種類存在しています。まず、すでに犯罪の嫌疑のある人物に対して任意同行を求める場合です。

根拠法規は刑事訴訟法198条です。また、警察等の捜査機関により職務質問が開始され、その場所で職務質問をすることが相当でないと判断された場合には、最寄りの警察署等に同行を求める場合です。根拠法規は、警察官職務執行法2条2項です。

任意同行と任意出頭の違い

任意同行と任意出頭は警察署に行くという点において同様です。しかし、警察官と共に行くかどうかにおいて異なります。

任意同行は、警察官とともに警察署に行きますが、任意出頭は、警察官と共に警察署に行くのではなく、ご自身だけで警察署に行くものです。

任意出頭について詳しく見る

逮捕ではありません

任意同行と逮捕は、どちらも警察署に連れて行かれる点において同様です。しかし、強制的に連れて行かれるかどうかにおいて異なります。

逮捕は逮捕令状に基づいて強制的に警察署に連れて行かれるもので、拒否することができません。他方、任意同行は、逮捕令状に基づくことなく、任意で警察署に連れて行かれるもので、拒否することができます。

したがって、任意同行と逮捕は強制的かどうかという点で異なります。

どんな場合に任意同行の要請があるか

すでに犯罪の嫌疑のある人物に対して任意同行を求める場合があります。この場合、任意同行後の逮捕をスムーズに行うことを目的としています。また、自宅や職場で逮捕されると、周辺の人に気づかれる場合があり、それを避けることを目的として任意同行を求める場合があります。

他方、警察等の捜査機関により職務質問が開始され、その場所で職務質問をすることが相当でないと判断された場合があります。

任意同行を求められたら

「警察から任意同行を求められて、拒否したいけど、可能?」、そして、「任意同行を拒否したら怪しまれない?」等不安に感じる方も多いかと思います。ここでは、任意同行に対する拒否についてご説明いたします。

拒否できる?

任意同行は逮捕令状に基づくものではないため、当然拒否することが可能です。あくまで任意として警察署に来てほしいというものであるため、警察署に行く義務まで課されるものではありません。

拒否した場合どうなる?

警察官から職務質問を受け、その後任意同行を求められ、任意同行を拒否した場合、捜査機関側からすると「何か怪しいことがあるのではないか」と思われる可能性はあります。しかし、任意同行はあくまで任意ですので、行きたくない場合には拒否するべきです。

他方、すでに犯罪の嫌疑のある人物に対して任意同行を求めた場合に、任意同行を拒否すれば、捜査機関は逮捕令状を請求する可能性があります。

任意同行に応じる場合

弁護士の付添は可能?

任意同行を求められた際、弁護士に付き添ってもらうことは可能です。 しかし、日本の法律では、弁護士が取調室に同席する権利を定めていないため、取調室に入ることはできず、警察署内で待機してもらうことになります。

しかし、任意同行は取調べの途中で退去することが可能ですので、退去し、弁護士に相談することができます。

録音は可能か

任意同行を求められて取調べをしている際に録音を禁止する根拠は存在していません。したがって、法律上は録音することは可能となります。

しかし、警察官に録音していいかどうかを聞いたとしても、警察官が認めるとは考えられないので、録音する場合には、警察官に告げることなく録音するのが適切でしょう。

仮に、録音していたことが見つかったとしても、警察官は録音を削除させることはできません。

取り調べはどれくらい時間がかかるか

任意同行後の取調べ時間はケースによって異なり、制限時間を定めているわけではありません。短い場合もあれば、長い場合もあります。しかし、あまりにも長期間行われ、実質的にみて逮捕に近い場合には、違法と判断される場合があります。

身に覚えがない場合の対応

全く身に覚えがないにもかかわらず、警察官から任意同行を求められた場合には、ご家族など身内の方に伝え、早期の段階で弁護士に依頼することを検討するべきです。

そして、任意同行に応じて取調べを行ったとしても、供述調書に署名指印することについて慎重になるべきです。

身に覚えがないため任意同行を拒否し逃げるということは辞めましょう、逃げている最中に人にぶつかり怪我をさせてしまった場合には、暴行罪、傷害罪が成立する可能性があります。そして、任意同行を求めた警察官に対しても同様です。拒否する際に暴れてしまい、警察官に暴行を加えてしまうと公務執行妨害罪が成立する可能性があります。

任意同行に関するよくある質問

任意同行されやすい時間帯はあるの?

警察官から職務質問を受け、その後任意同行を求められる場合には時間帯の特定は困難です。

しかし、すでに犯罪の嫌疑のある人物に対して任意同行を求める場合には、対象者が在宅している時間帯に行われることが多いため、早朝が多いといえます。

職務質問から任意同行となるのはどのような場合?

警察等の捜査機関により職務質問が開始され、交通問題の関係でその場所で職務質問をすることが相当でないと判断された場合には、最寄りの警察署等に任意同行を求めるケースがあります。

他方、警察官が犯罪を行いそうだと判断し職務質問を開始した場合には、最寄りの警察署等に任意同行を求めることがあります。

不安な場合は弁護士への相談が有効です。

任意同行を求められた際、どうしたらいいのか不安になることが多いと思います。 警察官の言われるままに警察署に付いていき、供述調書を作成してしまうと、最悪の場合には取り返しのつかないことになりかねません。

任意同行を求められた場合には、焦ることなく、弁護士に相談してみてください。 任意同行後に逮捕されたとしても、早期の弁護活動を行うことができ、ご依頼者様の利益につながることが多いといえます。

弊所は数多くの刑事弁護を扱ってきた実績があり、少しでもご依頼者様の利益になる弁護活動を行うことをお約束します。

まずはお気軽にご相談ください。

任意出頭とは

任意同行と任意出頭の違い

任意同行は自宅や勤務先などに来た警察の求めに応じ、交番や警察署に同行することで、任意出頭は手紙や電話による出頭の要請に応じて警察署などに出頭することです。

任意同行について詳しく見る

任意出頭の目的とは

任意出頭は、逮捕という強制的な身柄拘束の手続(つまり被疑者にとって不利益な処分)を取ることなく、被疑者の取調べを行うために行われます。

任意出頭を拒否できるか

任意出頭はその名の通り、任意に出頭に応じるものですから、拒否することもできます。

ただし、任意出頭に応じないことで逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕につながってしまう可能性があります。可能な限り、任意出頭には応じた方がよいでしょう。

拒否した場合

任意出頭を拒否した場合、捜査への非協力的な姿勢から逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕につながってしまう可能性があります。

また、一定の軽微な事案については被疑者が正当な理由なく出頭に応じないことが逮捕の要件とされているところ、その条件を満たし、逮捕されやすい状況を自ら作り出してしまうことになります。任意出頭を拒否した場合、これらの不利益があります。

事情聴取はどのような内容か

被疑者として任意出頭を求められ、出頭して事情聴取を受ける場合、聞かれる内容は逮捕された場合に受ける取調べと同じく、事件の犯人であると疑われている者(被疑者)に対する質問であり、逮捕された場合と比較して問いかけの口調などの違いはあっても、質問内容としては同じようなものになるでしょう。

逮捕されることはある?

任意出頭に応じないことが逮捕の要件とされている一定の軽微な事案を除き、任意出頭に応じていても、逮捕の理由と必要がある、すなわちその被疑者が捜査されている特定の犯罪を犯したことについて相当程度の高い疑いがあり、かつ逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合には、任意出頭からそのまま逮捕される可能性があります。

逮捕後の流れについて詳しく見る

取り調べの途中退席は可能?

任意に応じている以上、途中退席は可能です。

ただし、あまりに早く途中退席し、捜査に非協力的な態度を取るなど、実質は任意出頭の拒否と変わらないような場合は、最初から出頭に応じなかった場合と同じく、逮捕につながってしまう可能性があります。

事前に対策をしておきましょう

任意出頭を要請された場合、自分だけで臨むと、勝手が分からないまま、警察に誘導されるがままに受け答えした、自分の体験したことと異なる内容の調書にサインさせられるということにもなりかねません。

任意出頭する前に弁護士に相談・依頼することで、事情聴取に臨むにあたって注意すべきこと、やってはいけないことや、質問に対して答えるべきこと、答えるべきでないことなどについて打合せを行い、不当な捜査等により不利益を受けることを防ぐための対応をすることができます。

任意出頭に関するよくある質問

任意出頭の日程を何度も変更すると不利になりますか?

日程調整が複数回に渡る場合も、変更・調整が必要な理由がもっともであれば、問題ないでしょう。

一方で、大した理由がないにもかかわらずキャンセルや変更を繰り返していると、任意出頭に応じる気がないものと判断され、逮捕につながる可能性があります。やむを得ない事情により日程変更を要する場合は、その理由をきちんと説明し、捜査に非協力的であるという印象を持たれることを出来るだけ避けられるようにしましょう。

警察と検察からの呼び出しで違いはありますか?

いずれの呼び出しも事件について聞かれ、調書を作るなどするために行われるものであり、大きな違いはありませんが、検察からの呼び出しは警察にてある複数回の呼び出し・事情聴取を受けた後に、その総まとめとしての内容を聞くために行われます。

任意出頭の際に自白すれば減刑の可能性はありますか。

任意出頭時に自白した場合、取調べを受けている事件という犯罪事実の存在が明らかになっており、また犯人についてもその被疑者が事情聴取を受けている以上、自首は成立しませんし、自白それ自体を理由として減刑されることはありませんが、反省していることを示す情状の1つとして、ほかの情状と併せて量刑上考慮されることはあります。

地方に住んでおり、関東の警察署へ任意出頭が求められたのですが出頭拒否しても良いですか?

捜査を行うのは事件が発生した地域を管轄する警察署です。そのため、自宅から遠く離れた関東で犯罪を行った場合、関東の警察署から任意出頭を求められることになります。

遠方への出頭であっても、交通費等の費用は自己負担となります。遠方であっても、出頭を拒否すれば逮捕の可能性が出てくるなどの不利益が生ずることは近場の警察署の場合と同様です。

任意出頭の連絡がありお困りなら弁護士が力になります

任意出頭を求められている場合、要請に応じて出頭することが重要ですが、そこで受ける事情聴取への対応もまた、とても重要なものになります。弁護士にご相談いただくことで、任意出頭での事情聴取に際してのアドバイス・サポートを行うことができ、また任意出頭を経て逮捕されてしまった場合には速やかに弁護活動を開始することができます。任意出頭の連絡があった場合、まずは速やかに弁護士にご相談ください。