監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士
むちうちは、交通事故の衝撃で首が弓のようにしなり、痛みが残っている状況のことをいいます。交通事故に遭うと、多くの場合にむちうちの症状があります。
そこで、交通事故でむちうちになってしまった場合の慰謝料の相場についてご説明いたします。
目次
むちうちで請求できる慰謝料は2種類ある
むちうちになってしまった場合、相手方(保険会社)に対し、通院慰謝料を請求することになるのですが、弁護士基準を用いた通院慰謝料の計算方法には、大きく分けて2種類あります。すなわち、骨折や脱臼などの「通常の怪我の場合」と、捻挫や打撲などの「比較的軽微な怪我の場合」に分かれるのです。
むちうちの慰謝料相場
以下では、通院のみの場合の慰謝料の相場と、入院した場合の慰謝料の相場をご説明いたします。
通院のみの場合の慰謝料相場
弁護士基準により慰謝料を算定する際、他覚的所見の有無によって金額が大きくことなります。他覚的所見とは、レントゲンやMRIなどの画像所見により、むちうちの症状を説明できるかどうかによって判断されます。
通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1ヶ月 | 8万6000円 | 28万円/19万円 |
2ヶ月 | 17万2000円 | 52万円/36万円 |
3ヶ月 | 25万8000円 | 73万円/53万円 |
4ヶ月 | 34万4000円 | 90万円/67万円 |
5ヶ月 | 43万円 | 105万円/79万円 |
6ヶ月 | 51万6000円 | 116万円/89万円 |
入院した場合は金額が上がる
交通事故により入院した場合、入院することなく通院のみで治療を行った場合に比べて、入通院慰謝料の金額は大きくことなります。どれくらい増額されるかについては、お気軽にお問い合わせください。
後遺障害が残った場合の慰謝料相場
後遺障害等級が認定された場合、入通院慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料が支払われることとなります。むちうちの場合の後遺障害等級としては、12級13号若しくは14級9号の可能性がありますが、それぞれの後遺障害慰謝料は以下のとおりです。
12級13号と14級9号の違いは、むちうちの症状に他覚的所見が存在しているかどうかによって異なります。すなわち、むちうちの症状に、他覚的所見が存在している場合には12級13号が認定されるのに対し、他覚的所見が存在していない場合には14級9号が認定されることになります。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 94万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
むちうちの入通院慰謝料を計算する方法
むちうちの入通院慰謝料の計算方法をご紹介いたします。
入院なし、通院期間90日、実通院日数30日、他覚的所見なしの場合で入通院慰謝料を計算してみましょう。
自賠責基準
この場合、日額4300円に、⑴通院期間若しくは⑵実際に通院した日数の2倍のどちらかをかけることによって算出されます。上記の例の場合だと、入通院慰謝料は、日額4300円×60日(実際に通院した日数30日×2)=25万8000円となります。
弁護士基準
弁護士基準の場合、他覚的所見なしであるため、別表Ⅱを用いることにより、入通院慰謝料は53万円となります。
主婦の場合でも慰謝料は受け取れる?相場に違いはある?
主婦の場合でも、入通院慰謝料を受け取ることができるのかという質問をされることがあります。
答えは、主婦の場合であっても、入通院慰謝料を受け取ることができ、違いは、入通院慰謝料について、主婦以外の職業の方の計算方法と全く同じ表を用いることになるので、相場に違いはありません。
適正な入通院慰謝料には適切な通院が重要
適正な入通院慰謝料を支払ってもらうためには、適切な通院が重要となりますので、たくさん通院すれば多くの入通院慰謝料を受け取ることができるわけではありませんので、注意してください。
他方、あまりにも通院日数が少ないと、大した怪我ではないと判断されることとなるため、少ない入通院慰謝料になってしまう可能性があります。
このような事態を避けるために、通院段階から弁護士に相談・依頼することで、適切な通院についてのアドバイスをおこなうことができます。
弁護士の交渉によりむちうちの慰謝料などを大幅に増額できた事例
相手方保険会社は、むちうちの場合、通院期間3~5か月の段階で通院に関する一括対応を終了すると主張してくることがあります。
弊所でも、事故後3か月の段階で、一括対応を打ち切る旨の主張をされたことが少なくありません。そこで、弊所の弁護士は、医師との面談を行い、ご依頼者様の怪我が大きいこと、通院を続けていく必要性が高いとの意見を獲得し、相手方保険会社との交渉を行いました。その結果、通院に関する一括対応の期間を6ヵ月まで延長することができました。
そして、相手方保険会社と示談した際、6ヵ月で算出される入通院慰謝料89万円の満額を支払わせることに成功したケースがありました。
交通事故によるむちうちの慰謝料請求は弁護士にお任せください
交通事故によるむちうちの場合、相手方は、「むちうちだから」という理由で、一括対応期間を短くしたり、入通院慰謝料を大幅に減額することが少なくありません。
弁護士であれば、入通院慰謝料を自賠責基準ではなく、弁護士基準で算出することができ、大幅な増額を期待することができます。
さらに交通事故事件を豊富に扱っている弁護士であれば、一括対応期間を伸長し、安心して長期間通院することができます。
弊所の弁護士であれば、多くの交通事故事件を取り扱ってきたため、少しでもご依頼者様のお力になることができることと存じます。
まずはお気軽にお問い合わせください。
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保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)