共同親権で何が変わる?メリットやデメリットを解説

離婚問題

共同親権で何が変わる?メリットやデメリットを解説

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将

監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士

以前は、離婚後に父母どちらかが子の親権を取得する「単独親権」が採用されていましたが、令和8年4月1日より、「共同親権」が採用されることになりました。

「共同親権」が施行されて間もなく、実務上の運用が確立していないことから、最新の情報を踏まえながら解説いたします。

離婚後、子の親権について「共同親権」を検討されている方や、相手から「共同親権」を要求されているものの、その要求を拒否したい方は、ご参考いただければと思います。

この記事では、共同親権の制度概要、共同親権とすることのメリット・デメリットについて、解説いたします。

共同親権とは

「共同親権」とは、離婚後も父母の双方が子どもの親権を共同で行使することを認める制度です。

親権の内容は、子どもの生活全般を管理・監護する「身上監護権」と、子供の財産を代理で管理する「財産管理権」の2つで構成されています。

共同親権の法改正施行前(令和8年3月31日以前)は、単独親権のみが認められていましたが、令和8年4月1日の改正法施行によって、離婚後の親権について、共同親権か単独親権とするかを選択ができるようになりました。

共同親権になると何が変わるのか

共同親権を選択した場合、離婚後も父母双方が親権を持つことになるため、父母双方が、子どもの養育に関する重要な決定に関与できるようになります。

そのため、共同親権となることで、進学・医療・居住など、子どもの生活に関わる重要な事項は原則として両親の合意のもとで進める必要があります。

一方、日常的な養育に関する判断は同居親が単独で行えるケースもあり、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

海外の共同親権の導入状況は?

法務省の調査(令和2年)によると、アメリカ・フランス・ドイツ・オーストラリアなど多くの先進国がすでに離婚後の共同親権制度を採用しています。また、韓国や中国でも共同親権を認めており、共同親権を採用する国は増加傾向にあるといえます。

一方、日本はインドやトルコとともに単独親権のみを認める少数の国の一つでした。

もっとも、国連の「児童の権利委員会」が、「児童の最善の利益である場合に、外国籍の親も含めて児童の共同養育を認めるため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正し、また、非同居親との人的な関係及び直接の接触を維持するための児童の権利が定期的に行使できることを確保する」ため、必要な措置を講ずるよう日本に勧告していました。

このような背景をきっかけに、日本でも共同親権を認める法改正がなされました。

日本ではいつから共同親権が導入されるのか?

共同親権を含む改正民法は2024年5月に参議院本会議で可決され、2026年4月1日より施行されています。これにより、離婚の際に父母が協議して「単独親権」か「共同親権」かを選択できるようになりました。

協議が整わない場合は、家庭裁判所が子どもの利益を最優先に、「単独親権」か「共同親権」とすべきかを判断することになります。

共同親権を導入するメリット

共同親権の導入によって期待されるメリットは多岐にわたります。
①離婚時の親権争いの軽減、②離婚後も両親が子育てに関与できること、③養育費の支払意識の向上、④親子交流(面会交流)の促進などが主な点として挙げられます。

以下では、共同親権を導入するメリットについて解説いたします。

離婚時の親権争いを回避しやすい

離婚後も共同親権を選択できるようになることで、離婚時の親権争いを避けられる可能性が考えられます。

従来の単独親権では、父母のいずれかが親権者となるため、双方が親権を主張するケースでは調停や裁判に発展しがちでした。

共同親権の選択肢が加わることで、どちらか一方が完全に親権を失う事態を避けやすくなり、離婚協議がよりスムーズに進む可能性があります。

離婚後でも両親ともに子育てに関われる

共同親権では、別居する親も子どもの養育に積極的に関わることができます。

重要な教育・医療上の判断を父母で話し合って決めることで、子ども自身が両親どちらからも支えられているという安心感を得やすくなり、結果として子どもの成長や利益に繋がると考えられます。

また、離婚後、別居親が子育てに関与することにより単独親権で生じがちなの「子育ての孤立」について問題も緩和されることが期待されます。

養育費の不払いを防ぎやすい

共同親権により、離れて暮らす親が子どもの生活・成長に直接関与できるようになると、養育費への責任感も高まりやすくなります。
子どもとの絆を実感できることが、経済的サポートの継続につながると考えられています。

これによって、単独親権の場合と比べて、養育費の不払いを防ぎやすくなるといった効果が考えられます。

また、改正法では、法定養育費の制度が創設され、共同親権と同様、令和8年4月1日に施行されたことによって、離婚時に養育費の取り決めをしていなくとも、子ども一人あたり月額2万円を請求することができるようになりました。

親子交流(面会交流)が実施されやすい

共同親権のもとでは、別居親にも子どもの養育責任が明確に位置づけられるため、定期的な親子交流(面会交流)が実施されやすくなります。

これまで親権者の一存で面会が拒否されるケースも多くありましたが、共同親権により、別居親にも子どもの養育責任があることが明確化されたため、子どもが双方の親と関係を維持しやすい環境が整います。

共同親権を導入するデメリット・問題点

共同親権にはメリットの一方で、懸念される問題点もあります。
①DVやモラハラ被害が継続するリスク、②子どもへの精神的負担、③意思決定の遅延、④居住・転居の制約などが主な課題として指摘されています。

以下では、共同親権を導入することのデメリット・問題点について解説いたします。

DVやモラハラが継続するおそれがある

共同親権では離婚後も元配偶者との連絡・協議が必要になるため、DV・モラハラ被害が続くリスクがあります。

改正法ではDVや虐待がある場合は単独親権を選択すべきと定めていますが、証拠がなければ認定が困難なケースもあります。
被害者が安全に保護される制度的な配慮が引き続き課題となっています。

子供の負担が増える可能性がある

親子交流(面会交流)の頻度が増えることで、遠方に暮らす親のもとへ移動する子どもの身体的・精神的負担が増す場合があります。また、父母間で意見が対立したとき、子どもが父母との間で板挟みになりストレスを抱えることも懸念されます。

このように、共同親権となった後も、親子交流(面会交流)について、子どもの気持ちや生活リズムを優先した柔軟な取り決めが必要です。

教育方針などの決定に時間がかかりやすい

共同親権では、一定の重要事項を父母の合意のもとで決める必要があるため、意見が分かれた場合に決定までの時間を要することがあります。

特に転校・習い事・医療方針などで対立した際は、家庭裁判所の手続きを経なければならないケースも想定されます。家庭裁判所の手続には時間や労力がかかり、教育方針等の意思決定に時間を要する可能性があります。

そのため、重要事項を決定する際には、子どもへの影響を少なくなるように、互いに配慮して決定することが望ましいといえるでしょう。

遠方への引っ越しが制限されやすい

別居親と子どもの定期的な親子交流(面会交流)を維持するため、共同親権のもとでは同居親が遠方へ転居しにくくなる場合があります。

仕事の都合や実家への帰郷など、生活上の理由があっても相手親の同意が必要なケースがあり、自由な居住選択が制限されることがデメリットとなり得ます。

共同親権を取るためのポイント

共同親権を取得するためには、①子どもへの虐待を行わないこと、②配偶者へのDVを行わないこと、③離婚問題に精通した弁護士に相談することが重要といえるでしょう。

家庭裁判所は、常に子どもの利益を最優先として共同親権を認めるかを判断するため、親権者としての適格性を示すことが求められます。

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います

離婚問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
離婚問題の経験豊富な弁護士にお任せください

共同親権が認められないケース

以下のような状況では、裁判所が共同親権を認めず、単独親権と判断することがあります。

①一方の親が子どもや相手方に対してDV・虐待を行っている場合、②父母間の対立が激しく協力関係が見込めない場合、③子ども本人が強く反対している場合などが挙げられます。

子どもの安全と福祉が最優先の基準となるため、共同親権を認めて欲しい場合は、自己が親権を持つこと子どもに利益になることや、不利益となる事情が存在しないことを主張することになります。

共同親権が取れない場合の対処法

共同親権が認められない場合でも、親子交流(面会交流)の充実により子どもとの関係を維持することができます。

離婚時に面会の頻度・方法・場所などを具体的に取り決めておくことが大切です。また、将来的に状況が変われば、家庭裁判所に親権者変更の申立てを行うことも選択肢の一つです。

これらについては、家庭の様々な問題や事情を踏まえて、弁護士に相談した上で最善策を決めることが重要といえるでしょう。

共同親権についてのQ&A

共同親権導入後に離婚した場合、自動的に共同親権になるのでしょうか?

いいえ、自動的に共同親権になるわけではありません。離婚の際に父母が協議して単独親権か共同親権かを選択する制度となっています。

協議がまとまらない場合は家庭裁判所が判断しますが、どちらの形が子どもの利益にかなうかを個別に審査したうえで決定されます。

既に離婚している場合、共同親権になった後の親権はどうなるのでしょうか?

改正法施行後も、既に離婚済みの場合は自動的に共同親権に切り替わるわけではありません。共同親権への変更を希望する場合は、家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てる必要があります。

この場合も、親権者を変更することが子どもの利益に資するかどうかが判断基準となります。

共同親権で再婚した場合、子供の親権者は誰になりますか?

再婚しただけでは親権は変わらず、実父母の共同親権が続きます。
ただし、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は、実父母の一方とその再婚相手が共同親権者となります。

なお、15歳未満の子どもの養子縁組には、共同親権者双方の承諾が原則として必要です。

共同親権は拒否できますか?

協議の段階で単独親権を望む場合は、共同親権を拒否することを主張することができます。

ただし、相手方が共同親権を求めて調停を申し立てた場合は、家庭裁判所が最終的に判断します。調停の中で、DV・虐待など共同親権が困難な事情があれば、単独親権が選ばれる可能性が高くなります。

協議の段階では、両者の合意によって共同親権と単独親権とするかを決定することになるので、その点について注意が必要です。

共同親権から単独親権への変更はできますか?

共同親権から単独親権への変更も、家庭裁判所への申立てにより可能です。
父母の間で合意するだけでは親権者を変更することができないことには注意が必要です。

この変更が認められるには、共同親権を継続することが子どもの利益を損ない、単独親権によるべきであると判断される事情が証拠によって認められることが必要です。

一方的な都合だけでは認められにくく、具体的な事実に基づく主張が求められます。

共同親権について不明点があれば弁護士へご相談ください

共同親権についての法改正は、令和8年4月1日に施行されたばかりであり、実務上の運用はまだ積み重ねの段階です。

ご自身のケースで共同親権が適切かどうか、または不当な共同親権を避けたい場合は、離婚・親権問題に詳しい弁護士に相談することを強くおすすめします。

弊所の弁護士は、離婚問題を数多く取り扱っておりますので、共同親権を選択したい場合、相手から共同親権を要求されている場合は、お気軽にご相談ください。

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将
監修:弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。