監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士
離婚調停で、どのようなことを聞かれるか、何に気を付ければいいのか不安になることがあると思います。
そこで、この記事では、離婚調停でしてはいけない不利な発言や行動、離婚調停で聞かれる内容、有利にすすめるポイントを具体的にお伝えします。
目次
離婚調停でしてはいけない不利な発言
離婚調停では、自らの意見を調停委員に対して伝えたり、調停委員からの質問に答えたり、その場で発言をしなければならない機会が多くあります。その発言内容によって、離婚調停が有利に進む場合もあれば、不利になってしまう場合もあります。
以下の項目で、特に離婚調停でしてはいけない不利な発言を具体的にお伝えします。
①相手の悪口や批判
離婚調停において、相手の悪口や批判を繰り返すことは、悪い印象を与えてしまいます。
当然、DVを受けていた、不倫されたなど慰謝料に関わる事実や相手方が子の監護していなかったなど親権・監護権に関する事実について、慰謝料や親権に争いがあるのであれば、相手の非を指摘しなければいけないケースもあります。
しかし、単に相手方の人格を攻撃し、相手方の批判を繰り返すことについては、離婚調停で意味がないだけではなく、調停委員い印象を与えてしまうため、避けるべきでしょう。また、本来、離婚調停で話し合うべきことが話し合えなくなり、離婚調停が長期化する要因にもなります。
②矛盾する発言
調停委員は、本来、中立な立場で調停を進めます。
しかし、矛盾する発言を繰り返した場合、発言の信用性がなくなってしまい、調停委員に対して悪い印象を与えてしまうので、その後の調停が不利に進む可能性があります。
③固執しすぎる発言
離婚調停において、自分の希望を伝えることは重要ですが、固執しすぎる発言をすることは避けた方がよいケースがあります。
例えば、本来、月10万円程の養育費を支払う必要があるケースにおいて、相手方が月8万円に譲歩すると述べているにもかかわらず、月5万円しか絶対払えないと固執したところで、話し合いが決裂すれば、不利な結果が出るだけです。
また、固執しすぎる発言をすることで、裁判所に話し合いの余地がないと判断された場合には、離婚調停自体が不成立になってしまいます。
④譲歩しそうだと思われる発言
上記とは逆に、離婚調停において、安易に譲歩する発言をすることは避けた方がよいでしょう。
調停委員は、基本的に中立な立場で離婚調停を進行します。
しかし、調停委員は、できる限り調停を成立させたいと考えていますので、譲歩しそうだと思われる発言をした場合、譲歩しそうな側を説得して離婚調停を成立させようとすることがあります。
例えば、本来、月10万円程の養育費を支払う必要があるケースにおいて、相手方が月14万円の養育費を支払えと固執している場合、「子どものために14万なら」などと譲歩する発言をすれば、調停委員は、その金額を前提として離婚調停を成立させようとする可能性がありますので注意が必要です。
固執しすぎる発言がよくない一方で安易な譲歩をしないように気を付けましょう。
⑤他の異性との交際などをほのめかす発言
他の異性との交際などをほのめかす発言をすると、そのような交際の事実がある前提で調停が進められしまう可能性があります。
異性との交際が認められると慰謝料を支払わなければならない可能性があります。
また、調停委員の心証も悪くなり、その他の離婚条件についても、不利に進行する可能性がありますので、事実と異なる誤解を与えないように特に留意しましょう。
⑥相手に直接交渉するといった発言
離婚調停において、相手に直接交渉するといった発言は避けた方がよいでしょう。
離婚協議は、当事者間では感情的になりがちであるため、調停委員という中立の第三者を介して話合いを行うために、当事者の一方又は双方から家庭裁判所に調停が申し立てられているケースが殆どです。そのようなケースで相手方と直接交渉をしても話し合いが進むとは考えられないどころか、トラブルが生じるおそれがあります。
また、離婚調停の場ではなく、直接交渉するといった発言をした場合、ルールが守れない人間であると悪い印象を与える可能性が高く、今後の離婚調停が不利に進む可能性があります。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚調停で聞かれること
聞かれる内容 | |
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申立人 | 調停申立ての理由、離婚を望む理由、親権に関する意見、面会交流に関する意見、養育費の支払状況、財産関係、慰謝料に関する意見等。 |
相手方 | 離婚に応じるか否か、離婚事由の有無、親権に関する意見、面会交流に関する意向、財産関係、慰謝料に関する意見等。 |
離婚調停中にしてはいけない行動
離婚調停は、申立てから終了までの間に、半年程の期間がかかることが通常であり、長期化するケースにおいては1年以上の期間を要することもあります。
離婚調停中にしてはいけない行動の具体例としては、以下のものが挙げられますので、説明します。
①配偶者以外との交際や同棲
離婚調停中には、離婚が成立しておらず、夫婦関係にあることに変わりがありません。
離婚調停中に配偶者以外との交際や同居をした場合、不貞行為と判断され、慰謝料を支払わなければならない可能性が非常に高いです。
離婚調停中に配偶者以外との交際や同居は避けた方がよいでしょう。
②相手に直接連絡する
当事者間では離婚協議がまとまらないため、中立の第三者を介して話合いを行うために、離婚調停が申し立てられているケースが殆どです。そのようなケースで、相手方と直接交渉をしても話し合いが進むとは考えられないどころか、トラブルが生じるおそれがあります。
また、相手方が直接の連絡を明確に拒否しているにもかかわらず、執拗に連絡をしたり、別居している相手方の住居に押しかけた場合、ストーカー規制法違反や住居侵入罪といった刑事事件として処罰を受ける可能性すらあります。
特に相手方が直接の連絡を拒んでいるケースにおいては、相手方に連絡を取る、直接会うといった行動を取ることは避けた方がよいでしょう。
③離婚調停を欠席する
離婚調停を欠席することは避けた方がよいでしょう。
離婚を拒否するために欠席した場合、調停が不成立で終了した後、すぐに離婚訴訟を提起されてしまう可能性があります。
また、離婚調停と併せて婚姻費用や養育費が請求されている場合、婚姻費用や養育費については、話合いがまとまらない場合(調停不成立)には,自動的に審判手続に移行して、裁判所が判断することになります。欠席した場合、自分の言い分を伝える機会がないため、不利な判断がでるで可能性が極めて高いです。
いずれにしても、離婚条件を話し合う必要があるため、調停には出席し、自分の希望を伝えるべきです。
④子供を勝手に連れ去る
離婚調停中に子供を勝手に連れ去った場合、違法な連れ去りと判断される可能性があり、親権獲得において不利な事情になりかねません。何より、子供の連れ去りは子供の生活環境を突然変えてしまうため、子供にとって不利益が大きいため、離婚調停において協議しているにもかかわらず、子供を勝手に連れ去ることは、親権者の適確性を判断するマイナス要素になる可能性が高いです。
離婚調停中に子供を勝手に連れ去ることはせず、離婚調停において十分に話し合う必要があります。
離婚調停を有利にすすめるためのポイント
離婚調停においては、調停委員に自らの意見を伝えたり、調停委員からの質問に答えたりする機会が多くあります。
自らの意見をしっかり伝えることは重要ですが、感情的に相手方の攻撃を繰り返すのではなく、争点となっている事項に関係のある事実を冷静に話すことを心掛けましょう。
しかし、固執した発言や譲歩しそうだと思われる発言についてもすべきではないと説明しましたが、財産分与、養育費、慰謝料等について、相場が分からないと、そもそも固執しているのか譲歩しているのかすら分からず、冷静に話すことが難しい場面もあります。
ですので、弁護士に相談若しくは依頼をするなどして離婚調停を有利に進められるようにしてください。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚調停で不利な発言をしないようまずは弁護士にご相談ください
離婚調停においては、親権、養育費、財産分与、慰謝料、面会交流について、その場で様々な発言をする機会があり、緊張してうまく説明できないかもしれません。
また、これまで離婚調停でしてはいけない発言、有利にすすめるためのポイントを解説しましたが、双方の収入から算出される養育費の相場はいくらなのか、財産がどのように分けるのか公平なのか等、法的な知識があるからこそ冷静に話をできるという側面があります。
ですので、弁護士が代理人として離婚調停の場に同席していれば、足りない説明を補ったり、調停委員や相手方の意見に対して冷静に対応できます。
離婚調停で不利な発言をしないように、まずは弁護士にご相談ください。
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保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)