離婚の際に取り決める、子供の面会交流について

離婚問題

離婚の際に取り決める、子供の面会交流について

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将

監修弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長 弁護士

夫婦が離婚する際、子どもがいる場合には、面会交流に関する事項を定めることがあります。ここでは、面会交流に関することをご説明いたします。

面会交流とは

面会交流とは、子どもが子どもと離れて暮らす親(非監護親)と交流を図ることをいいます。
面会交流は、子どもが健全に成長するためには、両親から愛されているという実感が不可欠であるという考えに基づいて行われるものであり、子どもの成長のために不可欠なものと考えられています。もっとも、子どもをめぐる紛争でもあるため、父母の感情的対立が激しくなることも少なくありません。

面会交流ができるのは何歳まで?

面会交流は、お子様が成人になるまで行うことができます。もっとも、面会交流は、子どもの意思が尊重されることから、必ず行われるものではないことに注意が必要です。

なお、民法改正により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた場合、18歳になった時点で成人となり、親権がなくなることになります。そうすると、面会交流に関する制限はなくなり、非監護親と子どもは自由に会うことができるということになる可能性があります。

別居中でも面会交流はできるのか

離婚調停中で別居している場合であっても、明らかに子どもの福祉(利益)を害する特段の事情がない限り、子どもとの面会交流を行うことが可能です。離婚調停中で別居しているという事情は、面会交流を拒否することのできる特段の事情にはなりません。
したがって、離婚調停中で別居している場合でも面会交流を行うことができます。

面会交流について決めるべきルールとは

面会交流を行うにあたって定めておくべきルールについてご説明いたします。
もっとも、面会交流は、子どものための権利でもあるため、子どもを中心に考えなければなりません。細かくルールを定めてしまうと、かえって紛争の原因になる可能性があるため、柔軟さを持たせたルールがいい面もあります。

面会頻度

面会交流を行う頻度については、必ず取り決めておくべきといえます。一カ月に一回、一週間に一回等の頻度で行うことができますが、頻繁に面会交流を行うとするとかえって、子どもの負担になることもあるので、注意しましょう。
なお、面会交流の調停では、一カ月に一回と定められることが多いです。

面会時間

面会交流の時間についても予め取り決めた方が、当日の面会交流をスムーズに行うことができるようになります。例えば、午前10時から午後5時まで等です。お子様の年齢によって面会時間が決められることが多いと思われます。

面会場所

面会交流の場所については、当事者間で特定の場所を決めておくことも可能ですし、当事者間で特定の場所を決めるのではなく、非監護親に任せるのでも構いません。
子どもが小さい場合等については、公園、自宅等を面会交流の場所として決めることもあります。もっとも、それ以外は認められないというわけではないので、よく協議する必要があります。

子供との待ち合わせ場所・会う方法

面会交流を行うにあたって、面会交流の場所まで、監護親が子どもを連れて行くのか、非監護親が子どもを迎えにいくのか、どこかの駅等で待ち合わせるのか等、子どもとの待ち合わせ場所を決めておくと、スムーズに面会交流を行うことができます。

連絡方法

面会交流を行うにあたり、監護している親と監護していない親が、面会交流の日時場所方法等について協議することが想定されています。
電話で協議することもできますが、直接会話することに抵抗がある場合には、メールやSNS等のメッセージ機能で連絡し、調整することもできます。

学校行事への参加

子どもの入学式、授業参観、運動会等へ参加するかどうか、参加するとしてどのように参加するかについて、事前に協議しておくと、後に紛争になることを防ぐことができます。

プレゼントやお小遣い

クリスマスや誕生日等のイベントで、子どもにプレゼントを渡していいかどうかについても協議しておくといいでしょう。もっとも、あまりにも高額なプレゼントを渡すことは、子どもの健全な育成においてあまりいいとは言えません。また、面会交流の度にお小遣いを渡すことについても、子どもの健全な育成においてあまりいいとは言えないでしょう。

対面以外の交流方法

日程調整の結果、直接的な面会交流ができない等の場合には、対面以外の面会交流の方法を検討しておくといいでしょう。例えば、テレビ電話、電話、手紙等の間接的な面会交流の方法も可能です。

宿泊について

事前に何も協議していないにもかかわらず、面会交流中に宿泊するのはトラブルになる可能性が高いのです。事前に、監護親に対して、夏休み等の長期休暇に宿泊を行いたい旨を申し出て、十分に協議しておくべきといえます。

祖父母の面会交流

面会交流は、親子間のものであるため、原則として、祖父母に面会交流権は存在していません。
しかし、夫婦間の協議で、非監護親の面会交流が制限されておらず、監護親の了承を得ることができていれば、非監護親の面会交流の際、祖父母も会うことが可能です。

面会交流を決める際の流れ

面会交流についての流れをご説明いたします。
まず、夫婦間で協議し、合意できれば面会交流を実施していくことになります。夫婦間の協議で合意できない場合には、面会交流調停若しくは面会交流審判により面会交流の条件を決めることになります。

まずは夫婦間での話し合い(協議)

まずは、夫婦間で、面会交流の条件等を協議することになります。
夫婦間の協議で面会交流の条件等が決定できれば、養育費等の条件を含めて、面会交流の条件等についても公正証書に記載しておくといいです。

話し合いで決まらない場合は面会交流調停へ

夫婦間の協議若しくは弁護士を介入させた協議で、面会交流の取り決めができなかった場合には、家庭裁判所に対して、面会交流の調停を申し立てましょう。家庭裁判所には、心理学・社会学・教育学・社会福祉学等の専門知識を有する家庭裁判所調査官が配置されており、家庭裁判所調査官が当事者の間に入り、様々な調査を行った上で、面会交流について取り決めることになります。

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取り決めた面会交流が守られなかった場合

調停等により取り決めた面会交流が、理由なく実施されなかった場合には、間接強制を申し立てることができます。
間接強制とは、調停や審判、裁判等により面会交流が取り決めされたにもかかわらず、理由なく面会交流を実施しない場合に、一定額の金銭の支払いを命じることにより、面会交流の履行を強制する方法です。面会交流の制裁金の額は、1回につき約3万円から5万円程度になる例が多いです。
もっとも、間接強制を申し立てた場合、両親の葛藤が増してしまい、監護親の子に対する支配や抑圧が強くなってしまうこともありえることから慎重に検討するべきといえます。

取り決めた面会交流を拒否したい場合

面会交流は、子どもが健やかに成長するためには、両親から愛されているという実感が不可欠であるという考えに基づいて行われるものであり、子どもの成長のために不可欠なものです。したがって、正当な理由もなく面会交流を拒否することはできません。正当な理由なく面会交流を拒否した場合には、間接強制や損害賠償請求を受ける可能性があります。
仮に、子どもが風邪をひいてしまった場合や急な予定が入った場合等は、非監護親に連絡し、別の日を設定するようにしましょう。

なお、非監護親である父親が、正当な理由なく面会交流を拒否した母親に対して、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、500万円の支払を命じた裁判例も存在します(静岡地浜松支判平成11年12月21日)。

面会交流と養育費の関係

非監護者が養育費を支払わないからといって、面会交流を拒否することはできません。
養育費は、子どもの養育のためのお金で、親の子どもに対する扶養義務に基づくものであるのに対し、面会交流は、子どもが健やかに成長するためには、両親から愛されているという実感が不可欠であるという考えに基づいて行われるものです。したがって、面会交流と養育費は、交換条件とされるものではなく、非監護者が養育費を支払わないからといって、面会交流を拒否することはできません。

再婚した場合の面会交流

監護親が再婚した場合でも、再婚した事実をもって面会交流を拒否することはできません。なぜなら、面会交流は、子どもが健やかに成長するためには、両親から愛されているという実感が不可欠であるという考えに基づいて行われるものであり、再婚により面会交流の考え方は影響を受けないからです。そのような考えから、再婚相手は面会交流を拒否することができませんし、再婚相手が面会交流に同伴することもできません。

面会交流で不安なことがあれば弁護士に依頼してみましょう

面会交流に関して、夫婦間で争いになることが多いのです。しかし、面会交流は、子どもが健やかに成長するためには、両親から愛されているという実感が不可欠であるという考えに基づいて行われるものであり、十分に協議が必要です。
弊所の弁護士は、これまで面会交流に関する問題を多く取り扱ってきました。面会交流に関する問題を多く取り扱った実績のある弊所の弁護士であれば、少しでもご依頼者様のお力になることができると存じます。
まずは、お気軽にご相談ください。

姫路法律事務所 副所長 弁護士 松下 将
監修:弁護士 松下 将弁護士法人ALG&Associates 姫路法律事務所 副所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。